吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Free Jazz

【Disc Review】“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967) John Coltrane

“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, flute)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
Pharoah Sanders (flute, piccolo, tambourine)
 
EXPRESSION
JOHN COLTRANE
IMPUL
2012-05-15


 John Coltrane、スタジオ録音では最後のセッション?を中心とした最終アルバム。
 発表されたのは逝去されてからでしょうから、どこまで本人の意図が反映されている構成なのかどうかはわかりません。
 ここまでと変わっているのはPharoah Sandersが一曲のみの参加、また、サックスではなくフルート、ピッコロ。
 Pharoah Sanders はMar.7.1967のセッションには参加していませんし、Feb.15.1967のセッションにしても、後に発表された“Stellar Regions” (Feb.15.1967)に収められた部分をにも参加していません。
 バンドの形を変えようとしていたのは確かなのでしょう。
 よく、悟りの境地で穏やかで・・・云々といった解説を見たように思うのですが、そうでもないように思います。
 確かにPharoah Sandersがいないセッションは絶叫が無くなっていますし、彼が次入ったセッションにしてもフルート、ピッコロが中心なのでサックスよりは穏やかに聞こえます。
 絶叫フリージャズの世界からは抜け出したように思います。
 が、サックスは旋回を繰り返す不安感、深刻さを伴ったフレージングが中心、バンドの音から沈痛さは抜けていません。
 全体の質感は激しい系のフリージャズです。
 スローなフリービート、ルバートでのバラード“Expression”、“Offering”の序盤あたりに重厚な安らぎのようなモノを感じはしますが、後半はあの激烈で沈痛なフリージャズのColtrane。
 “Expression”、“Offering”がこれから先の姿だったのかもしれません。
 後に発表された“Stellar Regions” (Feb.15.1967)にも近い演奏が多く、素直に考えればそうなのでしょう。
 ・・・と思っていたら、CDで追加された”Number One” (Mar.7.1967?)は、Pharoah Sanders 抜きでも“Meditations” (Nov.1965)のような絶叫フリージャズ。
 確かに優し気な部分、穏やかな部分が徐々に増えてきていますが、まだ悟りといった感じにはほど遠い、激情に満ちた演奏。
 いずれにしても、まだJohn Coltraneの心は穏やかではなかったように感じます。
 Miles Davisはビジネス面を含めて計算されたスタイリッシュさだったように思いますが、John Coltraneはその内面をさらけ出すような、ある意味人間的なスタイリッシュさ。
 スタイリッシュさといった言葉も違和感がある、生々しさのようなものがカッコよさの源泉だったように思います。
 それだけに対峙するのがつらくなる部分も。
 いずれにしても多くの巨人と同様に、謎と余韻を残しつつ、John Coltraneの公式作品はここに終わります。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltrane

“Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, bells)
Rashied Ali (drums)
 
INTERSTELLAR SPACE
JOHN COLTRANE
IMPUL
2000-05-20
ジョン コルトレーン

 John Coltrane、Rashied Aliとの激烈なDuo作品。
 スタジオ録音としては最後から二番目のセッションなのだと思います。
 10分前後の楽曲に分かれており、テーマで始まりテーマで締めるジャズ的構成ですが、間はほぼほぼフリーインプロビゼーション。
 継続するグルーヴを叩き出していたElvin Jonesのドラムに対して、離散的なビートのRashied Ali。
 激烈さ、Coltraneへの直接的な反応ではElvin Jonesが勝るように思いますが、繊細ってなのは適当な形容でないのかもしれませんが、うるさくなく、小刻みなビートを次々と繰り出すイメージ。
 その分変化に富んで予測不可能、よりサックスが前面に出てくる印象のDuo。
 Coltraneは後期の激烈サックス、旋回するようなフレーズのオンパレード、フリーキーな音も多用。 
 それでもPharoah Sandersがいる際の演奏と比べると、あるいはこの時期になると絶叫する場面は少ない印象で、あまり身構えずに聞けるようにも思います。
 行きたいところに行けなくて同じところをグルグルと廻っている・・・
 言いたいことが言いきれずにひたすら語り続ける・・・
 そんな後期Colttaneの咆哮。
 あるいは彷徨。
 そんなところに共感する人が多いのでしょうか?
 そんな音をたっぷりと浴びたい時には最高のアルバムでしょう。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Stellar Regions” (Feb.15.1967) John Coltrane

“Stellar Regions” (Feb.15.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor, alto saxophone)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
 
Stellar Regions
John Coltrane
Grp Records
1995-10-10


 John Coltrane、最終アルバム“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967)と同セッションの未発表作品集。
 発表されたのは1995年。
 長らくお蔵に入っていた事実上の“Expression”アウトテイク集ですが、完成度の高いアルバム。
 激しさはほどほど、それゆえにお蔵に入ったのかもしれませんが、なぜ1995年まで出なかったのかはわかりません。
 全体の印象は、激烈フリー期に入る直前、“Sun Ship” (Aug.1965)、”First Meditations” (Sep.2.1965)に近い感じでしょうか。
 McCoy Tyner, Elvin Jonesはいませんが、オーソドックスなジャズの香りもわずかながら漂っていて、新しい ジャズカルテットの唯一の作品としてみることもできます。
 Rashied Ali のドラムは相変わらず変わっていますが、Jimmy Garrisonが素直にウォーキングする場面があったり、Alice Coltraneはこれが彼女の真骨頂なのでしょう、繊細で美しいピアノがフィーチャーされる場面が多かったり。
 フリービート、スローのルバートから始まり、徐々に激烈に変わっていく展開が多い印象。
 それらは“Expression”収録の“Expression”、“Offering”に近い感じ、それらに劣らない素晴らしい演奏。
 Pharoah Sandersが参加していないことも、“Ascension” (Jun.28.1965)、あるいは“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)以降の絶叫フリージャズから変わっていこうとしていた途上だったのかもしれません。
 あるいはColtraneだけで絶叫する場面もいくらかあり、彼がいなくても絶叫状態にトランスする方法を見つけたので・・・といったのは考えすぎでしょうか。
 いずれにしてもその場面も決して多くはなく、この期の作品としては身構えなくても聞けるアルバム。
 とても素敵なジャケット。
 上方を見上げるColtraneの頭の中には何があったのか?
 このアルバムと“Expression”の中にその答えがあるのだと思うのですが・・・
 人気作なのかどうかはわかりませんが、私は大好きなアルバム、名作だと思います。

 


 posted by H.A.

【Disc Review】“Jupiter Variation” (Feb.2.1966, Feb.22.1967, Mar.7.1967) John Coltrane

“Jupiter Variation” (Feb.2.1966, Feb.22.1967, Mar.7.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, bells)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison, Charlie Haden (bass) Rashied Ali (drums) Ray Appleton (percussion)
Pharoah Sanders (tambourine, wooden flute)
 
ジュピター・ヴァリエーション
ジョン・コルトレーン
ユニバーサル ミュージック
2015-05-13


 John Coltrane、激烈フリージャズ期、最後期の未発表演奏集。
 リリースは1978年。
 フリージャズ系の一連の作品が発表された後、“First Meditations” (Sep.2.1965) <1977>に続くリリースでしょうか。
 事実上、“Expression” (Feb.15,Mar.7.1967)、“Interstellar Space” (Feb.22.1967)のアウトテイク集。
本アルバムもPharoah Sandersの参加はフルートで一曲のみで、LPレコードB面はRashied AliとColtraneのDuo。
 “Leo”、” Peace on Earth”など、“Live in Japan” (Jul.11,22.1966)などでの演奏曲のスタジオ録音バージョンも収録されています。
 カルテットでの“Number One”は少々陰鬱な絶叫系フリージャズ。
 Pharoah SandersがいないとColtraneは絶叫しない・・・ってな感じも持っているのですが、この曲ではColtrane一人で絶叫しています。
 ピアノなどのソロの場面はなく、11分超、Coltraneの独り舞台。
 旋回するような例のフレージングに時折の絶叫。
 Feb.22.1967のRashied AliとColtraneのDuoも、絶叫する場面こそ少ないものの、魂の叫びのようなフリーキーな音の連続。
 “Leo”など、一連のドラムとのDuoの中では、これが一番すごいんじゃないの?と思う激烈さ。
 激しい演奏が並びますが、その中の” Peace on Earth”はとても穏やかなルバートでのバラード。
 そこそこのフリーキートーンもありますが、この線で落ち着いていくととても穏やかで安らかなのだけども、これは他のセッションよりは一年前の1966年。
 最後?のスタジオセッションの記録は激烈な“Number One”。
 まだJohn Coltraneの心中は穏やかではなかったようです。
 なお、近年のCDでは、Mar.7.1967の録音は”Expression”、Feb.22.1967のドラムとのDuoは“Interstellar Space”にボーナステイクとして収録されているようで、名演の” Peace on Earth”だけが浮いているのかな?
 



 posted by H.A.

【Disc Review】“Live in Japan” (Jul.11,22.1966) John Coltrane

“Live in Japan” (Jul.11,22.1966) John Coltrane
John Coltrane (soprano, alto, tenor saxophones, bass clarinet, percussion)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
Pharoah Sanders (alto, tenor saxophones, bass clarinet, percussion)
 
Live in Japan
John Coltrane
Grp Records
1991-05-14


 John Coltrane、フリージャズ期、新メンバーでの日本公演、ライブアルバム。
 コンサートは当時、賛否両論だったようですが、“Ascension” (Jun.28.1965)は既に世に出ていたようで、それを聞いていたとすれば、予想とは違わない演奏だったのかもしれません。
 もちろん多くの人は“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)あたりを期待したのでしょうが・・・
 ビートは極端なフリーでもなく、 “Afro Blue”、”Crescent”、”My Favorite Things”と人気曲が並びます。
 が、どれもが数十分を超える極端に長尺な演奏。
 さらにPharoah Sandersの絶叫、それに合わせるかのようなColtraneの絶叫、どこまで続くのか全く読めないインプロビゼーションには面食らった人が多いことは想像できます。
 テーマを決めたら凄まじい演奏がひたすら続きます。
  “Live at the Village Vanguard Again!” (May.28.1966)よりも少々激烈度は高い感じですが、それでも“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)、“Meditations” (Nov.23, 1965)などのように、沈痛この上ない感じの演奏ではないように思います。
 でもここまで各曲が長尺だと・・・
 あの名バラード” Crescent”までもが、激烈で長尺(54分!)、絶叫を交えた演奏で展開されます。
どこまでも、どこまでも、どこまでも続いていきそうなサックスのインプロビゼーション。
 吹いても吹いても吹き切れないような、もどかし気な音の流れ。
 それを延々と続ける体力、精神力の凄まじさ。
 聞く側も心してかからないと・・・
 そんな中でも、私のお気に入りはルバートでのスローバラード“Peace on Earth”。
 明るいメロディをベースにしたとても優雅な演奏。
 フリーキーになる部分もありますが、わずかな時間。
 McCoy Tynerよりも軽い感じのAlice Coltraneのピアノがいい感じで響いています。
 こんな演奏なら何十分でも続いて欲しい所。
 いずれにしても凄まじいステージ。
 やはりこれが出来るのはJohn Coltraneだけなのでしょう。

 


 posted by H.A.
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