吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Free Jazz

【Disc Review】“Milano Strut” (1978) Don Pullen, Don Moye

“Milano Strut” (1978) Don Pullen, Don Moye

Don Pullen (Piano, Organ) Famoudou Don Moye (Drums, Percussion, Congas, Bells)

 Don Pullen、イタリアのBlack Saintレーベルからのフリージャズ。
 この時期のDon Pullenの作品は、“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Riversなど、激烈系フリージャズ。
 本作はドラムとのDuo。
 もー好きにしてください・・・と言わざるを得ない、暴力的なまでのど激しい系。
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltraneもビックリの、黒い情念のほとばしりな音。
 もう勘弁してください・・・と思うこと、十数分。
 突然現れる美しいメロディ、ルバートでの漂うようなスローバラード。
 激情と混乱、安らぎが錯綜する音。
 これまたあの後期John Coltraneのバラードの世界。
 さらに、LPレコードB面、オルガンで演奏される“Milano Strut”の哀愁漂うクールな音。
 これはあのKip Hanrahanの世界。
 クールでやるせなくて、しかもオシャレ。
 こちらが先なので、彼の音のイメージの一部はDon Pullenだったのかもね?、と想わせる一曲。
 このままいって欲しい・・・の願いも虚しく、かき回されるピアノ。
 うーん・・・
 ・・・にしても素晴らしいジャケットだなあ・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

“Capricorn Rising” (1975) Don Pullen, Sam Rivers

Don Pullen (Piano) Sam Rivers (Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Flute)
Alex Blake (Bass) Bobby Battle (Drums, Tambourine)

Capricorn Rising
Don Pullen
Black Saint
2017-01-20


 Sam Rivers、Don Pullenとの共同リーダー作品。
 ど激しい系のフリージャズ。
 時代感はわからないのだけども、“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975) Miles Davisに近い時期。
 激しい系のフリージャズの時代は終っていた時期のようにも想像するのだけども、これでもかこれでもかの激しい系。
 これは熱い。
 あるいは暑苦しい。
 Sam Rivers、Don Pullenともに、あっけらかんと演奏するようなイメージもあるのだけども、この音は重くて熱い。
 血と汗が噴き出るような凄まじい音の洪水。
 全4曲、B面の二曲は明るいラテンな感じですが、それも激しい。
 全編疾走し続け。
 疲労度も120%。
 それでも、聞き終わるとなぜかスカッと爽やか・・・かな・・・?
 とにもかくにも体育会系な音。
 とても激しくて、男臭くてカッコいい音楽。
 夏には聞きたくないけどね・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967) John Coltrane

“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, flute)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
Pharoah Sanders (flute, piccolo, tambourine)
 
EXPRESSION
JOHN COLTRANE
IMPUL
2012-05-15


 John Coltrane、スタジオ録音では最後のセッション?を中心とした最終アルバム。
 発表されたのは逝去されてからでしょうから、どこまで本人の意図が反映されている構成なのかどうかはわかりません。
 ここまでと変わっているのはPharoah Sandersが一曲のみの参加、また、サックスではなくフルート、ピッコロ。
 Pharoah Sanders はMar.7.1967のセッションには参加していませんし、Feb.15.1967のセッションにしても、後に発表された“Stellar Regions” (Feb.15.1967)に収められた部分をにも参加していません。
 バンドの形を変えようとしていたのは確かなのでしょう。
 よく、悟りの境地で穏やかで・・・云々といった解説を見たように思うのですが、そうでもないように思います。
 確かにPharoah Sandersがいないセッションは絶叫が無くなっていますし、彼が次入ったセッションにしてもフルート、ピッコロが中心なのでサックスよりは穏やかに聞こえます。
 絶叫フリージャズの世界からは抜け出したように思います。
 が、サックスは旋回を繰り返す不安感、深刻さを伴ったフレージングが中心、バンドの音から沈痛さは抜けていません。
 全体の質感は激しい系のフリージャズです。
 スローなフリービート、ルバートでのバラード“Expression”、“Offering”の序盤あたりに重厚な安らぎのようなモノを感じはしますが、後半はあの激烈で沈痛なフリージャズのColtrane。
 “Expression”、“Offering”がこれから先の姿だったのかもしれません。
 後に発表された“Stellar Regions” (Feb.15.1967)にも近い演奏が多く、素直に考えればそうなのでしょう。
 ・・・と思っていたら、CDで追加された”Number One” (Mar.7.1967?)は、Pharoah Sanders 抜きでも“Meditations” (Nov.1965)のような絶叫フリージャズ。
 確かに優し気な部分、穏やかな部分が徐々に増えてきていますが、まだ悟りといった感じにはほど遠い、激情に満ちた演奏。
 いずれにしても、まだJohn Coltraneの心は穏やかではなかったように感じます。
 Miles Davisはビジネス面を含めて計算されたスタイリッシュさだったように思いますが、John Coltraneはその内面をさらけ出すような、ある意味人間的なスタイリッシュさ。
 スタイリッシュさといった言葉も違和感がある、生々しさのようなものがカッコよさの源泉だったように思います。
 それだけに対峙するのがつらくなる部分も。
 いずれにしても多くの巨人と同様に、謎と余韻を残しつつ、John Coltraneの公式作品はここに終わります。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltrane

“Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, bells)
Rashied Ali (drums)
 
INTERSTELLAR SPACE
JOHN COLTRANE
IMPUL
2000-05-20
ジョン コルトレーン

 John Coltrane、Rashied Aliとの激烈なDuo作品。
 スタジオ録音としては最後から二番目のセッションなのだと思います。
 10分前後の楽曲に分かれており、テーマで始まりテーマで締めるジャズ的構成ですが、間はほぼほぼフリーインプロビゼーション。
 継続するグルーヴを叩き出していたElvin Jonesのドラムに対して、離散的なビートのRashied Ali。
 激烈さ、Coltraneへの直接的な反応ではElvin Jonesが勝るように思いますが、繊細ってなのは適当な形容でないのかもしれませんが、うるさくなく、小刻みなビートを次々と繰り出すイメージ。
 その分変化に富んで予測不可能、よりサックスが前面に出てくる印象のDuo。
 Coltraneは後期の激烈サックス、旋回するようなフレーズのオンパレード、フリーキーな音も多用。 
 それでもPharoah Sandersがいる際の演奏と比べると、あるいはこの時期になると絶叫する場面は少ない印象で、あまり身構えずに聞けるようにも思います。
 行きたいところに行けなくて同じところをグルグルと廻っている・・・
 言いたいことが言いきれずにひたすら語り続ける・・・
 そんな後期Colttaneの咆哮。
 あるいは彷徨。
 そんなところに共感する人が多いのでしょうか?
 そんな音をたっぷりと浴びたい時には最高のアルバムでしょう。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Stellar Regions” (Feb.15.1967) John Coltrane

“Stellar Regions” (Feb.15.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor, alto saxophone)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
 
Stellar Regions
John Coltrane
Grp Records
1995-10-10


 John Coltrane、最終アルバム“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967)と同セッションの未発表作品集。
 発表されたのは1995年。
 長らくお蔵に入っていた事実上の“Expression”アウトテイク集ですが、完成度の高いアルバム。
 激しさはほどほど、それゆえにお蔵に入ったのかもしれませんが、なぜ1995年まで出なかったのかはわかりません。
 全体の印象は、激烈フリー期に入る直前、“Sun Ship” (Aug.1965)、”First Meditations” (Sep.2.1965)に近い感じでしょうか。
 McCoy Tyner, Elvin Jonesはいませんが、オーソドックスなジャズの香りもわずかながら漂っていて、新しい ジャズカルテットの唯一の作品としてみることもできます。
 Rashied Ali のドラムは相変わらず変わっていますが、Jimmy Garrisonが素直にウォーキングする場面があったり、Alice Coltraneはこれが彼女の真骨頂なのでしょう、繊細で美しいピアノがフィーチャーされる場面が多かったり。
 フリービート、スローのルバートから始まり、徐々に激烈に変わっていく展開が多い印象。
 それらは“Expression”収録の“Expression”、“Offering”に近い感じ、それらに劣らない素晴らしい演奏。
 Pharoah Sandersが参加していないことも、“Ascension” (Jun.28.1965)、あるいは“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)以降の絶叫フリージャズから変わっていこうとしていた途上だったのかもしれません。
 あるいはColtraneだけで絶叫する場面もいくらかあり、彼がいなくても絶叫状態にトランスする方法を見つけたので・・・といったのは考えすぎでしょうか。
 いずれにしてもその場面も決して多くはなく、この期の作品としては身構えなくても聞けるアルバム。
 とても素敵なジャケット。
 上方を見上げるColtraneの頭の中には何があったのか?
 このアルバムと“Expression”の中にその答えがあるのだと思うのですが・・・
 人気作なのかどうかはわかりませんが、私は大好きなアルバム、名作だと思います。

 


 posted by H.A.

【Disc Review】“Jupiter Variation” (Feb.2.1966, Feb.22.1967, Mar.7.1967) John Coltrane

“Jupiter Variation” (Feb.2.1966, Feb.22.1967, Mar.7.1967) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone, bells)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison, Charlie Haden (bass) Rashied Ali (drums) Ray Appleton (percussion)
Pharoah Sanders (tambourine, wooden flute)
 
ジュピター・ヴァリエーション
ジョン・コルトレーン
ユニバーサル ミュージック
2015-05-13


 John Coltrane、激烈フリージャズ期、最後期の未発表演奏集。
 リリースは1978年。
 フリージャズ系の一連の作品が発表された後、“First Meditations” (Sep.2.1965) <1977>に続くリリースでしょうか。
 事実上、“Expression” (Feb.15,Mar.7.1967)、“Interstellar Space” (Feb.22.1967)のアウトテイク集。
本アルバムもPharoah Sandersの参加はフルートで一曲のみで、LPレコードB面はRashied AliとColtraneのDuo。
 “Leo”、” Peace on Earth”など、“Live in Japan” (Jul.11,22.1966)などでの演奏曲のスタジオ録音バージョンも収録されています。
 カルテットでの“Number One”は少々陰鬱な絶叫系フリージャズ。
 Pharoah SandersがいないとColtraneは絶叫しない・・・ってな感じも持っているのですが、この曲ではColtrane一人で絶叫しています。
 ピアノなどのソロの場面はなく、11分超、Coltraneの独り舞台。
 旋回するような例のフレージングに時折の絶叫。
 Feb.22.1967のRashied AliとColtraneのDuoも、絶叫する場面こそ少ないものの、魂の叫びのようなフリーキーな音の連続。
 “Leo”など、一連のドラムとのDuoの中では、これが一番すごいんじゃないの?と思う激烈さ。
 激しい演奏が並びますが、その中の” Peace on Earth”はとても穏やかなルバートでのバラード。
 そこそこのフリーキートーンもありますが、この線で落ち着いていくととても穏やかで安らかなのだけども、これは他のセッションよりは一年前の1966年。
 最後?のスタジオセッションの記録は激烈な“Number One”。
 まだJohn Coltraneの心中は穏やかではなかったようです。
 なお、近年のCDでは、Mar.7.1967の録音は”Expression”、Feb.22.1967のドラムとのDuoは“Interstellar Space”にボーナステイクとして収録されているようで、名演の” Peace on Earth”だけが浮いているのかな?
 



 posted by H.A.

【Disc Review】“Live in Japan” (Jul.11,22.1966) John Coltrane

“Live in Japan” (Jul.11,22.1966) John Coltrane
John Coltrane (soprano, alto, tenor saxophones, bass clarinet, percussion)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
Pharoah Sanders (alto, tenor saxophones, bass clarinet, percussion)
 
Live in Japan
John Coltrane
Grp Records
1991-05-14


 John Coltrane、フリージャズ期、新メンバーでの日本公演、ライブアルバム。
 コンサートは当時、賛否両論だったようですが、“Ascension” (Jun.28.1965)は既に世に出ていたようで、それを聞いていたとすれば、予想とは違わない演奏だったのかもしれません。
 もちろん多くの人は“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)あたりを期待したのでしょうが・・・
 ビートは極端なフリーでもなく、 “Afro Blue”、”Crescent”、”My Favorite Things”と人気曲が並びます。
 が、どれもが数十分を超える極端に長尺な演奏。
 さらにPharoah Sandersの絶叫、それに合わせるかのようなColtraneの絶叫、どこまで続くのか全く読めないインプロビゼーションには面食らった人が多いことは想像できます。
 テーマを決めたら凄まじい演奏がひたすら続きます。
  “Live at the Village Vanguard Again!” (May.28.1966)よりも少々激烈度は高い感じですが、それでも“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)、“Meditations” (Nov.23, 1965)などのように、沈痛この上ない感じの演奏ではないように思います。
 でもここまで各曲が長尺だと・・・
 あの名バラード” Crescent”までもが、激烈で長尺(54分!)、絶叫を交えた演奏で展開されます。
どこまでも、どこまでも、どこまでも続いていきそうなサックスのインプロビゼーション。
 吹いても吹いても吹き切れないような、もどかし気な音の流れ。
 それを延々と続ける体力、精神力の凄まじさ。
 聞く側も心してかからないと・・・
 そんな中でも、私のお気に入りはルバートでのスローバラード“Peace on Earth”。
 明るいメロディをベースにしたとても優雅な演奏。
 フリーキーになる部分もありますが、わずかな時間。
 McCoy Tynerよりも軽い感じのAlice Coltraneのピアノがいい感じで響いています。
 こんな演奏なら何十分でも続いて欲しい所。
 いずれにしても凄まじいステージ。
 やはりこれが出来るのはJohn Coltraneだけなのでしょう。

 


 posted by H.A.

【Disc Review】“Live at the Village Vanguard Again!” (May.28.1966) John Coltrane

“Live at the Village Vanguard Again!” (May.28.1966) John Coltrane
John Coltrane (soprano, tenor saxophone, bass clarinet, flute)
Alice Coltrane (piano) Jimmy Garrison (bass) Rashied Ali (drums)
Emanuel Rahim (percussion)
Pharoah Sanders (tenor saxophone, flute)
 


 John Coltrane、フリージャズ期、新メンバーでの最初のアルバム、ライブ録音。
 ”Live! at the Village Vanguard” (Nov.1961)からわずか五年ですが、メンバーはJimmy Garrisonだけが残り、音楽も変わっています。
 楽曲は定番の”Naima”, “My Favorite Things”の二曲のみ。
 冒頭、”Naima”のテーマの提示までは、かつてのバンドと同じ穏やかなイメージ。
 Pharoah Sandersがインプロビゼーションを始めると徐々に様相が違ってきます。
 穏やかに背景に流れていたメロディラインが崩れ始め、ビートも離散的になっていきます。
 が、この期の他の作品の比べるとずいぶん穏やかな音。
 サックスソロがColtraneに交代しても、こちらもこの期では珍しいかもしれない穏やかな音の流れ。
 続くJimmy Garrisonのベースソロも落ち着いていて、グラスのぶつかる音が聞こえるほどの静かな時間。
 続く“My Favorite Things”からビートは上がってきますが、先発のColtraneのソロまでは、“Selflessness: Featuring My Favorite Things” (Jul.1963)などのバージョンとは大きく違わないように思います。
 が、Pharoah Sandersのフリーキーなサックスソロが始まると空気感は一変。
 Rashied Aliが激しいフリービートを叩き出し、並走するColtraneも激しい絶叫と混沌の世界に・・・
 それでも本作、“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)、“Meditations” (Nov.23, 1965)あたりと比べると、相対的には平和で穏やか。
 上記の二作に比べると、普通にジャズとして聞いても極端な違和感はないと思います。
 一曲が長いのは大変ですが・・・

 新バンド=激烈フリージャズのイメージがあるのですが、この新バンドの最初のアルバムが出たタイミングでは、すでに次の方向への模索が始まっているようにも感じます。
 極めつけに激しい激烈絶叫フリージャズな作品は未発表作品も含めて、このアルバムの前までの以下ぐらい、Pharoah Sanders参加の初期の作品だけだったようにも思います。

 “Ascension” (Jun.28.1965)
 “Live in Seattle”(Sep.30.1965)
 “Om”(Oct.1.1965)
 “Kulu Sé Mama”(Jun.10.16,Oct.14.1965)
 “Meditations” (Nov.1965)

 Coltraneのフレージング自体もかつてとは違った沈痛で激しく同じところを旋回している感じになってきていますが、それでもPharoah Sandersが激烈絶叫フリージャズの主要因だったように感じます。
 などなど、もろもろの妄想は尽きないのですが、次の公式アルバムは遺作の“Expression” (Feb.15.1967, Mar.7.1967)。
 果たしてJohn Coltraneの気持ちは穏やかだったのでしょうか?




 posted by H.A.

【Disc Review】“Meditations” (Nov.23, 1965) John Coltrane

“Meditations” (Nov.23, 1965) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone)
McCoy Tyner (piano) Jimmy Garrison (double bass) Elvin Jones (drums) Rashied Ali (drums)
Pharoah Sanders (tenor saxophone)

Meditations (Reis) (Rstr) (Dig)
John Coltrane
Verve
2009-03-24


 John Coltrane、公式アルバムとしては“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)に続く激烈絶叫フリージャズ作品。
 一部の曲の激烈度はNo.1かもしれません。
 二か月前にカルテットで同曲を演奏した “First Meditations” (Sep.2.1965)を録音していますが、世に出したのはRashied AliとPharoah Sandersを加えた激烈なこちら。
 私的にはギリギリでジャズの世界に踏み止まっている“First Meditations”が大のお気に入り作品なのですが、Coltraneとしてはこちらの方がイメージしていた音だったのでしょう。
 二作は全く異なる作品、“First Meditations”が習作にも聞こえません。
 基本的にはテーマが提示されて、テーマで締めるジャズのフォーマットですが、その間はフリージャズ。
 五曲で構成されますが、全曲メドレーで演奏されます。

 冒頭曲、サックス二名の激しい音でテーマの提示もそこそこに、Elvin Jones、Rashied Aliは最後までずーっとドラムソロ状態。
 Coltrane はこの期の彼の旋回するフレーズ、フリーキーな音の連続、Pharoah Sandersはさらに輪をかけたような絶叫。
 完全に意識がどこかに行ってしまったような、常軌を逸したような激烈な音。
 McCoy Tynerはバンドの音の動きに反応しつつ、妖しい音の流れのバッキングを続けます。
 ホーンの咆哮、絶叫、口があんぐり状態の凄まじい演奏、が10数分続きます。
 ホーンが抜け次曲に移行、ピアノソロが始まると突然オーソドックスなジャズ的な流れに変わり、ドラム、ベースが定常なビートを刻み、McCoy Tynerはここまでと同様にモーダルな激しい音。
 とても素晴らしいソロ、ジャズピアノトリオ+αです。
 そんな不思議な流れのメドレーでLPレコードA面は終了します。
 LPレコードB面はJimmy Garrisonの静かなソロに導かれるスローバラードでスタート。
 Coltraneはフリーキーな音は使わず、テーマメロディの変奏のようなフレーズ、祈りにも似たようなソロを繰り返します。
 バックはフリービートですが、美しいピアノの音との絡みが妖しくカッコいい演奏。
 が、次曲Pharoah Sandersがフリーキーな音を発し始めると、Coltraneも再び絶叫状態に・・・
 ホーンが抜けると嵐が過ぎ去った後のような、McCoy Tynerの美しい世界から、締めのフリービートでのバラードへ。
 Coltraneはフリーキーな音を多くは使わないながら、沈痛な面持ちで幕。

 とても激烈な音、沈痛で深刻な音が印象に残ってしまいますが、凄まじい絶叫が続くのはPharoah Sandersが音を出す”The Father and the Son and the Holy Ghost”, “Consequences”の二曲のみ。
 ほかの三曲はビートがフリーなものもありますが、オーソドックスなジャズ風であったり、荘厳で静かだったり。
 冷静に眺めれば“A Love Supreme” (Dec.1964)にも近い構成。
 それらの作品、あるいはジャズ度の高い“First Meditations” (Sep.2.1965)の世界からどうやって抜け出すか、どうすればその先に進めるのか、その答えがPharoah Sandersの絶叫であり、Rashied Aliのビート、だったのかもしれません。
 それにしても凄まじい演奏、凄まじい音楽です。
 以降、すでに残された時間はありませんが、激烈な絶叫フリージャズのColtraneの世界が続きます。
が、“Om”(Oct.1.1965)、あるいは、このアルバムの上記二曲が激烈さのピークだったように思います。




 posted by H.A.

【Disc Review】“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965) John Coltrane

“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone)
Pharoah Sanders (tenor saxophone, percussion) McCoy Tyner (piano) Jimmy Garrison (bass) Elvin Jones (drums) 
Donald Rafael Garrett (bass clarinet, bass, percussion) Frank Butler (drums, vocals) Juno Lewis (vocals, percussion, conch shell, hand drums)
 
Kulu Sé Mama (Expanded Edition)
Universal Music LLC
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、公式作品としては“Ascension” (Jun.28,1965)に次ぐアルバム。
 その間で録音された “Sun Ship” (Aug.1965)、“First Meditations” (Sep.2.1965)は世に出ることはなくお蔵に入りし、発表されたのが本作。
 半年ほど間を開けた二つのセッションから構成され、違うムードの演奏が収められています。

 後のOct.14.1965のセッション、LPレコード片面を占める長尺なタイトル曲は、ボーカル入り激烈フリージャズ。
 前月のセッションに当たる“First Meditations”とは雰囲気が全く異なります。
 重々しいアフロビート、パーカッションの響きを背景にして、呪術的なボーカルとPharoah SandersとColtraneのサックスが、“Ascension”の一部のソロのように、常軌を逸したような絶叫の連続。
 全体のサウンド自体は、ダークで妖しいムードも含めてエスニックなジャズの範囲だし、カッコいいと思うのですが、激烈なサックスが普通ではない空気感を作っています。
 切羽詰まって叫び続ける・・・そんな感じ。
 このサックスの凄まじい音を真正面からとらえることが出来るか、怖い、あるいは別のことを感じて敬遠してしまうかで、評価が分かれるのだと思います。

 LPレコードB面は先のJun.10.16.1965のセッション、Pharoah Sanders他の参加は無く、カルテットのメンバーでの演奏となります。
 こちらも激しい演奏ですが、“First Meditations”、あるいは“A Love Supreme” (Dec.1964)的な調性が取れたジャズ。
 “Vigil”はJohn ColtraneとElvin JonesのDuo。
 とても激烈な演奏で、“Live! at the Village Vanguard” (Nov.1961)あたりと比べてみると、サックスの音量が上がり、同じところをグルグルとも旋回しているような感じのフレージングが増えてきているように思います。
 が、ビート感は一定しているし、絶叫するような場面は多くはありません。
 “Welcome”は全編ルバートでのスローバラード。
 サックスは鬼気迫るようなこの期の音使いではなく、かつての優しい系に近い演奏。
 長い演奏ではありませんが、安らかで感動的な音。
 このB面の激烈な演奏から穏やかな演奏でクールダウンする流れが、かつての定番であり、私が一番カッコいいと思うColtrane。

 が、そんな普通のことでは満足できないColtrane。
 Jun.10,16.1965のセッションから、タイトル曲のOct.1965の間に演奏のスタイルが変わったのは確か。
 そのきっかけ、要因は“Ascension” (Jun.28,1965)なのか、Pharoah Sandersの参加なのか?
 その両方なのでしょう。
 また、Coltraneの頭の中では以前からタイトル曲のようなサウンドが鳴っていて、満足できる結果になったのが本作であり、“Ascension”以外のセッションには満足していなかった、と考えるのが妥当なのでしょう。
 ここから先はほぼ全編が沈痛で激烈な魂の叫びのようなフリージャズの世界。
 私的には“First Meditations” (Sep.2.1965)+αぐらいまでのサウンドが、気持ちよく聞ける範囲。
 本作のタイトル曲を含めて、この先が凄いことは間違いないのですが、身構えて聞かないと・・・
 真正面からとらえることは、まだまだ未熟な私には難しいようです。
 いつの日か・・・




posted by H.A.


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