吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Contemporary Jazz

【Disc Review】“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

“Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” (2018) André Mehmari Trio

André Mehmari (piano, synths, órgãn, accordion, sopros)
Neymar Dias (bass) Sérgio Reze (drums, gongos, melódicos)

Na Esquina Do Clube Com O Sol Na Cabeca
Andre Mehmari アンドレメーマリ
Estudio Monteverdi
2019-06-26


 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのトリオ作品、“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2018年版。
 ソロピアノでの“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmariから10年、静かでクラシカルな2008年版に対して、本作はジャズ、あるいはジャズフュージョン。
 ジャズ~ファンクのグルーヴたっぷりのベース、ドラムに、あの突っ走り飛び跳ねまくり、明後日の方向に飛んで行くぶっ飛んだピアノ。
 シンセサイザー、オルガン、その他がオーバーダビングされ、分厚いフュージョンサウンドの場面、ときおりのアバンギャルドに、電子音を混ぜつつのスペーシーな音、激しい場面もそこかしこ。
 さらに近年のクラシカルでノーブルな色合いも混ざりつつ、ハイテンションでドラマチックな演奏が並びます。
 本編と同じく“Tudo Que Você Podia Ser”、ファンクなビートのピアノトリオと電子音の絡み合いで幕を開け、続くはドラマチックな“Clube da Esquina No. 1”、 激しくアバンギャルドな場面を含めて目まぐるしい展開の“Clube da Esquina No. 2~Cravo É Canela”。
 そこまでだけでもごちそうさまな凄い演奏。
 少々クールダウン、と思いきや、気がつけばまた新手のぶっ飛んだ演奏・・・などなど、怒涛の演奏。
 あれよあれよと景色は変わり、最後はクラシカルなソロピアノの演奏で締め。
 あのフォークロックな名曲の数々が全く様変わりして、あるいは別のイメージのドラマに作り変えられ、次々と流れていきます。
 さながら”Clube Da Esquina組曲”現代フュージョン版、ってな面持ち。
 とても激しく、とてもドラマチック。




posted by H.A.


【Disc Review】“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

“MPBaby Clube Da Esquina” (2008) André Mehmari

André Mehmari (piano)

Mpbaby-Clube Da Esquina
Andre Mehmari
Mcd World Music
2008-09-02


 ブラジルのピアニストAndré Mehmari、ソロピアノでの“Clube Da Esquina” (1972), “Clube Da Esquina 2” (1978)Milton Nascimento & Lô Borgesへのトリビュート作品、2008年版。
 子ども向けのDVD?テレビ番組?の企画と思しきアルバム。
 フォーク・ロックな元作に対して、本作はクラシカル。
 元作のメロディはそのままに、ザラつきが徹底的に磨かれ、この上なくスムースに仕上がった音。
 突っ走り、飛び跳ねる方の彼の音はありません。
 あくまで優しく穏やかに丁寧に置かれていく、美しいピアノの音。
 ほどほどのタメとほどほどのリバーブ。
 とてもさり気ない演奏のようで、端々に見え隠れする名人芸。
 とても上品です。
 子守歌としては少しラウドなのかもしれません。
 が、全編、気持ちのささくれを収めてくれるような穏やかな音の流れ。
 何も予定がない休日の午前にこれほど合う音は少ないかも。




posted by H.A.


【Disc Review】“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

Yilian Cañizares (Violin, Vocals)
Abel Marcel Calderón Arias (Piano) David Brito (Double Bass) Cyril Regamey (Drums, Percussion)

Ochumare
Canizares
Naive Jazz
2013-08-27


 キューバ出身の女性バイオリニスト&ボーカリストのキューバンコンテンポラリージャズ、ボーカル入り。
 “Aguas” (2017) でOmar Sosaと共演していた人。
 スイス在住のようで、メンバーは南米、ヨーロッパの混成チーム、コンテンポラリージャズなピアノトリオ。
 ラテンなビートに上品で美しいピアノ。
 グルーヴィーに突っ走るピアノトリオに、旧上昇、急降下を繰り返す、ときおり激情が混ざるバイオリン。
 ちょっと不思議系、エスニックなメロディを口ずさむ、妖しくハイテンションなヴォイス。
 といっても、怒涛のキューバンジャズには、なりそうでなりません。
 ラテンなムードたっぷりながら、上品で抑制されたヨーロピアンジャズが不思議に混ざり合う空気感。
 そんな中を自在に駆け巡るバイオリンとヴォイス。
 暑すぎず寒すぎず、激しすぎずおとなしすぎない、ほどほどのバランス。
 ビジュアルの華やかさも含めて、そろそろブレイクしそうな予感がするのだけど、さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu

“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu 

Lars Danielsson (bass, cello) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)

Summerwind
Paolo Fresu
Act
2018-09-28


 スウェーデンのベーシストとイタリアのトランペッター、大御所二名のDuo作品。
 下の方でうごめくベースあるいはチェロと、ゆったりと漂うようなクールなトランペット。
 冒頭、あの”枯葉”が別のモノのように響きます。
 二人のオリジナル曲を中心に、いくつかのヨーロピアンメロディ。
 Lars Danielssonのあの激甘メロディは抑制され、淡い色合いの漂うような音の流れ。
 内省的で沈んだ空気感。
 躍動するベースと、ゆったりしたトランペットの感傷的な音。
 今にも静止しそうなほどに漂いながら、ときに強烈に加速しながら、静かな時間は進んでいきます。
 各曲短い演奏、三分に満たない楽曲も散りばめられ、次々と切り替わっていく淡い景色。
 遠い過去を眺めているようにも聞こえるし、何気ない日常のクールダウンのようにも聞こえます。
 クールな佇まい、静かでスタイリッシュ、淡い色合い、沈んだ空気感。
 やはりメロディアス。
 日常の喧騒から離れ、夢うつつな時間が流れていくような心地よさ。
 そんな名人芸。




posted by H.A.



【Disc Review】“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

Beatriz Nunes (Vocals)
Luís Barrigas (Piano) Afonso Pais (Guitar) Mário Franco (Contrabass) Jorge Moniz (Drums) Tiago Canto (Flute) 
Carla Santos, Jorge Vinhas (Violin) Kátia Santandreu (Viola) Emídio Coutinho (Cello)



 ポルトガルのボーカリストBeatriz Nunes、おそらくデビュー作。
 静かなコンテンポラリージャズ。
 サポートはピアノトリオを中心としたアコースティックな音。
 クラシックの香りが漂う端正で美しいピアノと静かなドラムとベース、おそらくジャズの人たちなのだと思います。
 静かで間の多い空間の中の、極めて透明度の高い美しい声。
 少しキャンディな感じもちらほらする微妙なニュアンスで、テクニカルなスキャットまでやってしまう、何ともいい感じの歌。
 中心となるオリジナル曲は、少し不思議系。
 哀しげな表情のようでどこかクール。
 ヨーロピアンなクラシカルで透明度の高い音の中に漂う、微かなエキゾチシズム。
 4ビートもなければ、普通にポップスな感じでもありません。
 メロディも決してキャッチーな感じではないのですが、美しいピアノの音と、さらに輪をかけたような美しさ、図らずとも聞き入ってしまう声。
 さらにときおりのストリングスカルテットが上品な緊張感を付け加えていきます。
 静かに流れていく、何処か不思議な違和感のある綺麗な音。
 大化けする予感、そんな特別な声。




posted by H.A.

【Disc Review】“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

Omar Sosa (piano, keyboards) Yilian Cañizares (violin, voice)
Gustavo Ovalles (percussion, voice)

Aguas
Omar / Canizares, Yilian Sosa
Ota Records
2018-10-05


 キューバのピアニストOmar Sosaと女性バイオリニスト&ボーカリストYilian Canizaresの双頭リーダー作。
 ジャズとルーツミュージック~ポップスが交錯する音。
 ベースは静謐で内省的な近年のOmar Sosaワールド。
 ECM作品を想わせるような静かで漂うようなピアノから始まり、これも静かに絡みつくようなバイオリンと囁きヴォイス。
 エキゾチックな歌が出てくると少し表情が変わってきます。
 哀しげな表情で切々と歌う美しい声。
 全曲を占めるOmar Sosaのオリジナル曲は、スペイン、アルゼンチン、メキシコ、もちろんキューバを含めたスペイン語圏、あるいはアフリカ、はたまた中近東の色合いが漂う、哀しげながらポップなメロディ。
 Yilianさんのバイオリンと歌も静かで優しい、Omar Sosaワールド。
 静かに漂うようなピアノとパーカッションに寄り添いつつの抑制された演奏。
 同じくDuo名義の“Transparent Water” (2017)と同様、どこか遠い所から聞こえてくるような、優しくどこか懐かしいトリップミュージック、少し現実寄り。
 本作も静かで素敵な時間が流れていきます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

Omar Sosa (Grand piano, Fender Rhodes, sampler, microKorg, vocal) Seckou Keita (Kora, talking drum, djembe, sabar, vocal)
Wu Tong (Sheng, bawu) Mieko Miyazaki (Koto) Gustavo Ovalles (Percussion) E’Joung-Ju (Geojungo) Mosin Khan Kawa (Nagadi) Dominique Huchet (Bird EFX) 

Transparent Water
Omar / Keita, Seckou Sosa
Ota Records
2017-02-24


 キューバのピアニストOmar Sosa、アフリカのコラその他を奏でるSeckou Keitaの双頭リーダー作。
 コラとピアノの共演といえば隠れた名作“Village Life” (1984) Herbie Hancock, Foday Musa Susoを想い起こしますが、アフリカンエスニックながらあの時代らしいスタイリッシュさも強いそちらに対して、本作は全く違うテイストのもっと静かで優しい音。
 コラやアフリカンパーカッションだけでなく、笙、琴、あるいは中近東系などを含めたワールドワイドな楽器が織り成す音。
 静かに鳴るピアノ、絡み合うさまざな楽器の響きと囁きヴォイス。
 中心となるオリジナル曲は近年のOmar Sosa色合い、内省的で少し哀しげな淡いメロディ。
 躍動感の強い演奏も少なくないのですが、あくまで静かで漂うような、そして優しい音。
 エスニックな打楽器の丸い音で奏でられるリフの繰り返しが穏やかな陶酔を誘い、遠い所から聞こえてくるような楽器と囁き声がどこか遠い所に誘うトリップミュージック。
 淡い色合いの空気の中、少しシャープなピアノの音が覚醒を促しつつ、気がつけばまた夢うつつの世界に・・・
 そんな素敵な時間。
 名作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu

“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu 

Omar Sosa (piano, keyboards, percussion, vocals, programming) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn, multi-effects, percussion)
Natacha Atlas (voice) Jaques Morelenbaum (cello) 
Anton Berovski, Sonia Peana (violin) Nico Ciricugno (viola) Piero Salvatori (cello)

Eros
Omar Sosa
Ota Records
2016-10-14


 キューバのピアニストOmar Sosa、イタリアのトランペッターPaolo Fresuの双頭リーダー作。
 “Alma” (2012) Paolo Fresu, Omar Sosaに続く二作目。
 前作と同様にブラジルのJaques Morelenbaum、さらにベルギーのボーカリストがフィーチャーされ、ストリングスカルテットがサポートに入ります。
 かつてのキューバンジャズファンクの闘士、スタイリッシュジャズのイタリアンが奏でる、穏やかで優しい音。
 前作に比べて、強烈な浮遊感が全体を覆います。
 キューバ、アフリカ、南米、ヨーロッパの色合いが混ざったどこか懐かしいメロディ、時間の流れが遅くなったようなゆったりした音の動き。
 夢の中を漂うような電子音、ピアノを背景にした、訥々としたミュートトランペットの動きがまどろみを誘い、オープンホーンでの流麗な動きが現実に引き戻す、そんな時間が続きます。
 ビートが定まっても止まない浮遊感。
 さらにチェロ、ストリングスが揺らぎを加え、幻想的な女性ヴォイスが交錯する、白日夢のような時間。
 遠い所を眺めるような、遠い所から聞こえてくるような、どこか懐かしい音。
 静かで優しい、そしてセンチメンタルな時間。
 大人の子守歌。




posted by H.A.


【Disc Review】“Bridges” (2015) Adam Baldych

“Bridges” (2015) Adam Baldych

Adam Bałdych (Violin)
Helge Lien (Piano) Frode Berg (Bass) Per Oddvar Johansen (Drums)

 ポーランドのバイオリニストAdam Bałdych、カルテットでのコンテンポラリージャズ。
 サポートはノルウェーの名手のピアノトリオ。
 オーソドックスな編成ですが、普通のジャズ~コンテンポラリージャズとは少々質感が異なります。
 基調はジャズですが、クラシック、ヨーロピアントラディショナルの強い香りが漂う、繊細かつドラマチックな音。
 中心となるオリジナル曲は、エキゾチシズムを漂わせながらの憂いを含んだメロディ。
 後ろ髪を引かれるようにタメを効かせて置かれていく繊細なピアノと変幻自在に動き回るバイオリン。
 どこかに飛んで行ってしまいそうなバイオリンを現実に引き戻すかのようなピアノ。
 美しく繊細なピアノの音に導かれて静かに始まり、徐々にテンションを上げ、楽曲の終盤にはドカーンとくるドラマチックな構成の楽曲がたくさん。
 全編通じてハイテンションです。
 インプロビゼーションだけでなく、それらの抑揚感を含めて計算し尽くされたような完成度。
 全体を漂う非日常的なエキゾチシズムと哀しい音の流れは、どこか遠い時代の遠い所から聞こえてくるようにも感じるし、ドラムを中心とする乾いたビート感はいかにも現代の音のようにも聞こえます。
 哀しく、どこか懐かし気で、ドラマチックな東欧コンテンポラリージャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“The New Tradition” (2013) Adam Baldych

“The New Tradition” (2013) Adam Baldych

Adam Baldych (violin) Yaron Herman (piano)

The New Tradition
Adam Baldych & Yaron Her
Imports
2014-06-10


 ポーランドのバイオリニストAdam BaldychとイスラエルのピアニストYaron HermanのDuo作品、ドイツのACTレーベルから。
 静謐と激情が交錯する時間。
 クラシックの色合いが強いヨーロピアンなテイストのピアノに、こちらもクラシックがベースなのだろうけども、地中~中近東の香り、ヨーロピアントラディショナルな香りも強いバイオリン。
 強い哀愁が漂うメロディと少し沈んだ空気感、強い緊張感は、このレーベルの雄、Lars DanielssonLeszek Mozdzerの諸作を想い起こします。
 それらと同様に、美しく冷たく硬質なピアノを背景にした、太い音の激情バイオリン。
 あくまでメロディアスなフレーズを紡いでいき、徐々に高揚しつつピークに達するスタイル。
 たった二人の決して大きな音ではない演奏ながら、とてもドラマチック。
 終始哀し気で少々深刻系の空気感はポーランドジャズの人の色合い。
 とてもハイテンションで躍動感が強い音、それでいて静かで美しい、現代バイオリンジャズの一作。




posted by H.A.


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