“Far Star” (2022) Gilad Hekselman
Gilad Hekselman (guitars, keyboards, bass, whistle, tambourine, body percussion, voice)
Shai Maestro, Nomok (keyboards) Oren Hardy (bass) Eric Harland, Ziv Ravitz, Amir Bresler, Alon Benjamini (drums & percussion)
Nathan Schram (viola, violin)
イスラエル出身、今はアメリカ在住でしょうか、ギタリストGilad Hekselmanのコンテポラリージャズ。
“Ask For Chaos”, “Further Chaos” (2018)以来、久々のアルバムなのだと思います。
それらはオーソドックスなギタートリオと先端系の二バンドを並行して展開する形だったと思いますが、本作はまた違った流れ。
デジタル色強め、先端色強めのスペーシーなサウンド。
あくまで軽快ながら、もはや何拍子なのか考えるのも憚れるというか、個々の楽器が違うビートで絡み合う、複雑なビート感。
メロディアスでわかりやすいのだけども、不思議感が漂うメロディを奏でる、丸くて柔らか、艶やかなギター。
強い浮遊感と強烈な疾走感。
諸作よりも目立つコンピュータで作った音と、超絶な演奏力の生楽器が絡み合い、無機的なようでそうでもない、複雑な質感。
そんなサウンドを中心に、ときおりアコースティックギターを絡めた爽やか系やら、重いビートとディストーションなギターやら。
とても”今風”な”ジャズ”。
各曲、静かに始まり、終盤に向けてテンションを上げていく、ドラマチックな展開、さらにアルバムを通じたドラマ仕立てな展開は、いかにもなこの人のアルバムの構成。
本作のテーマは宇宙な何某なのでしょう。
確かにそんな音。
激しくなっても突っ走ってもへんてこりんでも、あくまで優雅でメロディアス、とてもスムース。
構成、テーマがどうあれ、心地よいこの人のサウンド。
カッコいいんじゃないでしょうか。