“When we leave” (2020) Matthias Eick
Mathias Eick (Trumpet, Keyboard, Vocals)
Andreas Ulvo (Piano) Audun Erlien (Bass) Torstein Lofthus (Drums) Helge Andreas Norbakken (Drums, Percussion)
Håkon Aase (Violin, Percussion) Stian Carstensen (Pedal Steel Guitar)
ノルウェーのトランペッターMathias Eick、哀愁ヨーロピアン・コンテンポラリージャズ、ECMレコードから。
前作“Ravensburg” (2017)と同様、ピアノトリオにバイオリン、パーカッションを加えた編成に、一部にスチールギターが加わります。
いつもと変わらない寂寥感の塊トランペットに、いつもと変わらない哀愁滴るメロディ、それでいてとても穏やかな空気感もいつもと変わりません。
トランペットの寂寥感に対して、音楽自体はもともと明るい色合いの人。
ECMでの第一作“The Door” (2007)と比べても、その質感は変わりません。
とはいえ、メロディアスな楽曲が揃ったからなのか、アンサンブルが洗練の極みに達したからなのか、全編が穏やかな空気感だからなのか、哀愁指数、郷愁指数は本作が一番高いかもしれません。
ゆったりとしたビート。
優しくセンチメンタル、ノルウェーの色合いなのであろうエキゾチシズム、微かな違和感を含んだメロディ。
インプロビゼーションよりもアンサンブル。
ドカーンとではなくジワジワくる系。
計算し尽くされ編み上げられているのであろう、が、さりげなく聞こえる柔らかな音の流れ。
さらに一曲一曲の中に込められた、これまたさりげない起承転結。
さりげなくとてもドラマチック。
あくまで穏やかなのですが、まるで涙腺と琴線を狙い撃ちしているかのようなメロディ、アンサンブル、展開。
連発される哀愁のメロディとアンサンブル中心の構成、8ビート系中心のリズムは、ともすればポップにも聞こえるかもしれません。
実際、ポップでキャッチーだと思います。
が、最初の20秒のみで図らずも涙腺がゆるんでしまいそうな破壊力をもったメロディがたくさん。
全部含めて哀愁・郷愁の金太郎飴。
切るところによって微妙に表情は違います。
どの表情もとてもSaudade。