吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

ECM records

【Disc Review】"Arco Iris" (2010) Amina Alaoui

"Arco Iris" (2010) Amina Alaoui
Amina Alaoui (Vocals, Percussion)
José Luis Montón (Guitar) Eduardo Miranda (Mandolin) Sofiane Negra (Oud) Idriss Agnel (Percussion) Saïfallah Ben Abderrazak (Violin)

Arco Iris
Amina Alaoui
Ecm Records
2011-06-28


 モロッコの女性ボーカリストAmina Alaouiの北アフリカ~南スペイン~アラブなエスニックミュージック。
 ノルウェーの名ピアニストJon Balkeと“Siwan” (2009)を制作した人。
 少し低音に振れた、朗々としながらも、ミステリアスなボイス。
 おそらくは伝統曲なのであろう、聞き慣れないアラブな音階、物悲しいメロディ。
 北アフリカなのか、スペインなのか、ポルトガルなのか、あるいは中近東なのか、どこなのかはわかりません。
 冒頭のアカペラからどこか遠い場所、遠い時代にトリップするような非日常的な空気感。
 “Siwan” (2009)と同様に弦の中心の背景なのですが、大きな違いはスパニッシュJosé Luis Montónのギターが大きなスペースを占めること。
 ECM独特のリバーブと透明感。
 断言はできないけども、私が知る限り、ECMのアコースティックギター系では本作が一番美しい音かもしれません。
 さらにマンドリン、ウード、バイオリンが絡み合う天上のようなサウンド。
 少ない音数の弦が絡み合う空間の中に漂うミステリアスなボイス。
 ドキッとするような美しさと緊張感。
 ジャケットの素晴らしいポートレートは、モロッコの海? 
 対岸はスペインの地中海、あるいはポルトガル、はたまた遠くキューバ~アメリカ大陸を望む大西洋なのかもしれません。
 が、そのイメージの陽光はなく、少し曇った哀し気な海。
 そんな音。
 ECMのエスニック・トリップ・ミュージック、北アフリカ版。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke, Siwan

“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke, Siwan
Jon Balke (piano, keyboards, percussion)
Mona Boutchebak (vocals, oud)
Derya Turkan (kamanche) Pedram Khavar Zamin (tombak) Helga Norbakken (percussion)
Bjarte Eike, Alison Luthmers, Øivind Nussle (violin) Milos Valent, Per Buhre, Torbjørn Köhl (viola) Judith Maria Blomsterberg, Mime Brinkmann (cello) Johannes Lundberg (bass)

Nahnou Houm
Jon Balke
Ecm Records
2017-11-17


 ノルウェーのピアニストJon Balkeの北アフリカ~スペイン・アンダルシア~中近東~アラブ~その他のエスニックミュージックプロジェクト、ECMでの第二作。
 前作“Siwan” (2007,2008)からフロントの女性ボーカルがモロッコのAmina AlaouiからアルジェリアのMona Boutchebakに交代。
 古楽のバンド-Barokksolistene-はそのままなのだと思いますが、そのメンバーは入れ替わっているようです。
 ボーカルが少し線が細い感じ、ビート、展開を含めてオーソドックスになった感じもしますが、不思議感たっぷりのアラビアンなメロディ、アンアンブル、アフリカンなパーカッション、歪んだ時空から聞こえてくるような弦の響きは変わりません。
 前作では前面に出る場面が少なくなかったトランペットが抜け、あくまで弦のアンサンブルとボイスが中心。
 ピアノの登場場面も前作と同様にほとんどありません。
 結果的にはジャズ度がさらに薄くなり、エスニック度、時代不明度が濃くなっています。
 不思議感、妖しさ、緊張感120%のメロディですが、メロディラインが明確であるがゆえに、迷宮感はほんの少し薄らぎ、その地域、その時代のポップミュージックのようにも聞こえます。
 どの場所なのか、どの時代なのかは不明なのですが・・・
 ところどころに見え隠れするサンバなメロディラインの断片、Kip Hanrahan的バイオリンなどからは、地中海~北アフリカ~カリブ~南米との繋がりを意識してしまうのは、考えすぎでしょうか?
 Jon Balkeの一連の作品、北欧~中近東~アフリカ~南米までが混ざり合う無国籍なエスニック感、過去と現在、未来のフュージョン、静謐で悲し気な音、強い浮遊感、ちょっとした気難しさと高尚さ、狂気と正気の交錯、・・・その他含めて、1990年代以降のECMの象徴の一人のようにも思います。
 いずれにしても本作も妖しさ120%、非日常に浸れる音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Siwan” (2007,2008) Jon Balke, Amina Alaoui

“Siwan” (2007,2008) Jon Balke, Amina Alaoui
Jon Balke (Keyboards) Amina Alaoui (Vocals)
Jon Hassell (Trumpet, Electronics) Kheir Eddine M'Kachiche (violin) Pedram Khavar Zamini (Goblet Drum) Helge Norbakken (Percussion)
-Barokksolistene-
Bjarte Eike, Per Buhre, Peter Spissky, Anna Ivanovna Sundin (violin)
Milos Valent (violin, viola) Rastko Roknic, Joel Sundin (viola) Tom Pitt (cello) Kate Hearne (cello, recorder) Mattias Frostensson (bass) Andreas Arend (theorboe, archlute) Hans Knut Sveen (harpsichord, clavichord)

Siwan (Ocrd)
Jon Balke
Ecm Records
2009-06-30


 ノルウェーのピアニストJon Balkeとモロッコの女性ボーカリストAmina Alaouiの北アフリカ~スペイン・アンダルシア~中近東~アラブ~その他諸々がフュージョンするエスニックミュージック。
 古楽のバンド-Barokksolistene-と絡みつつ、どこかなのか、いつの時代なのか、わからない時間。
 Jon Balkeはピアノを封印して、作曲とサウンドメイクに徹しています。
 不安感を煽るかのようなメロディ、聞き慣れない音階と妖し気な弦楽器の響き。
 時空が歪んだかのように揺れ動くアルコを中心に、ときおりの哀し気なアルペジオ。
 そんなサウンドを背景に、Amina Alaouiは哀し気な表情の朗々とした声、緊張感の高い歌は、どこか宗教的な色彩も帯びた妖しい音の流れ。
 さらにはアフリカンなパーカッションに、思い出したように響くジャズなトランペット。
 妖しさ120%
 現代の日常とは乖離した不思議な時間。
 憂いに満ちた深刻な音の流れ、荘厳なムードは、神々しい・・・畏れ多い・・なんて言葉が似合いそう。
 それが中世の地中海沿岸の日常の空気感、そこでの音楽はそんな感じの存在だったのかもしれません。
 また、別のバンド“Batagraf”と同様、なぜか本作でも聞こえるKip Hanrahan諸作に似たバイオリンの動きは、大西洋を隔てたキューバとの浅からぬ関係が・・・
 ・・・とかなんとか、歴史の事はよくわかりませんが、そんな感じで数十万キロ、数百年トリップ出来る音。
 さすが、Jon Balke、ECM。
 このプロジェクトの第二弾は、十年後の“Nahnou Houm” (2017)。
 古いようでプリミティブなようで、新しくてクリエイティブな凄みが詰まった一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Say and Play” (2009) Batagraf, Jon Balke

“Say and Play” (2009) Batagraf, Jon Balke
Jon Balke (Piano, Keyboards, Electronics, Percussion)
Erland Dahlen (Drums) Helge Andreas Norbakken (Percussion)
Torgeir Rebolledo Pedersen (Poetry Reading) Emilie Stoesen Christensen (Vocals)

Say And Play
Universal Music LLC
2017-07-28


 ノルウェーのピアニストJon Balke、アフリカン~エレクトロニクスなプロジェクトBatagrafでの作品。
 このプロジェクト、ECMでは“Statements” (2003, 2004)に次ぐ二作目。
 前作からとてもカッコよかったサックス、トランペットが抜け、アフリカンなボイスの登場場面も減っていますが、その分シンプルで静かな音。
 電子楽器が前面に出る場面が増え、アコースティックピアノのインプロビゼーションのスペースもしっかりと確保されています。
 温かなアフリカンパーカッションに、複雑なビート。
 クールな電子音と美しいピアノ、これまたクールな女声。
 その妖しい声の主は、あのECM御用達、ノルウェーの名ドラマーJon Christensenの娘さんのようです。
 前作と異なり基本的には静かな音、強烈なビート、強い音はあまりありません。
 静かながら複雑なビート、強いグルーヴと、悲し気なメロディ、美しいピアノ、妖しげなボイス・・・
 エスニックなビートと電子音、肉声の静かな絡み合い、高速に突っ走るジャズピアノとスローテンポで漂うボイスの絡み合い、あるいはWeather Reportのような軽快なグルーヴとシンセサイザーの絡み合い、はたまた前作と同様、妖しくてオシャレなKip Hanrahan諸作を想い出す場面・・・などなど。
 マニアックなようで、とてもポップに聞こえます。
 おそらく、プリミティブな雰囲気なようで、それも含めて計算尽く、とてもとても洗練されているのでしょう。
 The Magnetic North Orchestraでの作品は不思議で妖しい北欧ジャズ、Siwanでは地中海沿岸~アラブなエスニックミュージックですが、Batagrafはアフリカンと未来のフュージョン。
 血肉とエレクトロニクス、原始と現代、未来が交錯するような不思議で妖しい、エレトリック・エスニック・ポップ・ミュージック。
 とても心地いいトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Book of Velocities” (2007) Jon Balke

“Book of Velocities” (2007) Jon Balke
Jon Balke (piano)

 ノルウェーのピアニストJon Balkeのソロピアノ作品。
 ピアノによるとても美しい断片のコラージュ。
 4部構成、全19曲。
 即興のような、準備されたメロディがあるような、淡いイメージの音の流れ。
 ピアノのイメージは、Paul Bleyに近い感じ?、彼をもう少し丸く柔らかくした感じでしょうか。
 強烈なグルーヴを作りつつ突っ走ることが出来る人なのですが、そんな場面は少なく、静かでゆったりとした、余白が多い時間。
 抽象的な音の流れ。
 一分~長くて四分程度で楽曲は変わり、次々と周囲の景色が流れていきます。
 Keith Jarrettのソロピアノは手に汗握るスぺクタルですが、こちらはもっとカジュアルな空気感。
 但し、少し日常からずれたような不思議な感覚。
 フリージャズ的で抽象的だし、応用編である事は否定しませんが、慣れてしまえば不思議な心地よさ。
 極上に美しいピアノの音に加えて、とても静かで間が多いからでしょう。
 一日中流れていても違和感のない音楽の一つ。
 聞き流してもよさそうな感じなのですが、周りに誰もいない静かな時間に聞くと、何か意外なものが見えてくるかも・・・
 そんな静かなピアノミュージック。




posted by H.A.


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