吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

Brazilian

【Disc Review】“Ao Vivo No Auditório Ibirapuera” (2012) André Mehmari, Mário Laginha

“Ao Vivo No Auditório Ibirapuera” (2012) André Mehmari, Mário Laginha
André Mehmari, Mário Laginha (piano)

Ao Vivo No Auditório Ibirapuera
Estúdio Monteverdi [dist. Tratore]
2013-08-02


 ブラジル、ポルトガルのスーパーピアニストのDuo、ライブ録音。
 Mário LaginhaはスーパーボーカリストMario Joaoの夫君。
 彼女、あるいは共同名義の作品で、しなやかで柔らかな質感ながら強烈な疾走感のピアノを弾いている人。
 ポルトガル語圏のブラジルはもとより、アルゼンチン現代フォルクローレ系の“Andrés Beeuwsaert” (2015)でも楽曲が取り上げられていたり、どこか南米系と繋がっているのでしょう。
  André Mehmariよりも一回り以上年上のはず、柔らかな音の使い方も共通していて、南米のピアニストに影響が大きい人なのかもしれません。
 ピアノが二台の作品、音がぶつかってうるさくなるケースが無きにしも非ずなのですが、本作は違います。
 私的には“An Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert” (1978) Herbie Hancock & Chick Coreaに並ぶ心地よいコンサート。
 いずれも絶妙なバランス。
 短いイントロダクションを経て、フォルクローレ的な優しさに溢れたAndré Mehmariの名曲”Lagoa Da Conceição”からスタート。
 各人のオリジナル曲を中心に、とても優雅な音の流れ。
 クラシックの色はそこそこ、ジャズ~フォルクローレ~MPB的な色合いが強い感じ、ゆったりとしたセンチメンタルなメロディが中心。
 奇数拍子のフワフワとしたイメージが印象に残ります。
 抑え目ながら、要所では跳びはね、短く高速フレーズを散りばめているのがAndré Mehmari、オーソドックスにまとめているのがMário Laginhaなのでしょう。たぶん。
 いずれ劣らぬ名人芸。
 バトルではなく、上品なアンサンブルと、ピリッと効いたオブリガード、強烈なインプロビゼーション、ときおりの疾走と高揚、その他もろもろの交錯、あるいは融合。
 本作はもちろん、この二人が参加する作品はどれも名作です。




posted by H.A.

【Disc Review】“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça

“Em Casa Com Luiz Eça” (2017) Igor Eça
Igor Eça (bass, guitar, voice)
Toninho Horta (guitar, voice) Itamar Assiere (piano) Jurim Moreira, Ricardo Cota (drums)
Dori Caymmi, Edu Lobo, Zé Renato (voice) Mauro Senise (flute, sax) 

Em Casa Com Luiz Eca
Igor Eca
Imports
2017-04-21


 ブラジル、ジャズサンバトリオTamba TrioのピアニストLuiz Eçaへのトリビュートアルバム。
 リーダーは明記されていませんが、息子さんのIgor Eçaが仕切ったのでしょうかね?
 楽曲はLuiz Eçaの作品を中心とした、オーソドックスなジャズサンバ。
 バンドはピアノトリオ+ギター+木管を中心とした、これまた由緒正しいオーソドックスなブラジリアン・ジャズフュージョン編成、一部ボーカル入り。
 そのギターがToninho Horta
 ガットギターはもちろん、丸い音のエレキギターもたっぷり。
 さらにボーカルはそのToninho Hortaに加えて、Dori Caymmi, Edu Loboの豪華ゲスト陣。
 ま、想像通りの平和で楽し気な音。
 普通・・・といえばその通りなのですが、Toninho Hortaのギターがたっぷり聞ければ文句なし。
 やはりこのあたりのサウンドは、気楽に安心して聞けるなあ・・・


※別のバンドから。


posted by H.A.

【Disc Review】“Arraial” (2017) Vento em Madeira

“Arraial” (2017) Vento em Madeira
Léa Freire (flutes) Teco Cardoso (Sax, flute) Tiago Costa (piano) Fernando Demarco (bass) Edu Ribeiro (drums) Mônica Salmaso (voice)

Arraial
Vento Em Madeira
Imports
2017-03-03


 ブラジル・サンパウロのコンテンポラリージャズユニット。
 Maria Rita, Chico Pinheiro, Rosa PassosAndre Mehmari, Mônica Salmasoなどなど、サンパウロだけでなくリオ系の人々の作品を含めて、どこかで名前を見たことがあるかな?と思う、ファーストコールなブラジリアンが集まったバンド。
 イニシアティブをとっているはフルートのLéa Freireでしょうか?
 なんだか変わった雰囲気のジャズ。
 メロディが違うのか、コードが違うのか、アンサンブルが違うのか、ビートが違うのか、よくわからないのですが、上記の人たちの作品とも全く異なる不思議感。
 徹底的に凝りまくったアレンジ。
 複雑なビートに複雑なアンサンブル。
 リズム隊とフロント陣のビートを意図的に変えている場面も多いのでしょう。
 さらに、合奏を含めて、入れ代わり立ち代わり次々とフロント陣の主役が変わる構成。
 ちょっと音を出しては後ろに下がり、また前に出て・・・
 コレクティブインプロビゼーションではなく、徹底的に練り上げられた計算づくのアレンジなのでしょう。
 その音の動きが、普通のブラジル音楽とは少々異質な不思議な浮遊感を醸し出しているようにも思います。 
 ベースとなっているとてもしなやかなビート感、穏やかなメロディライン、前向きな空気感はブラジリアンゆえでしょう。
 極めて複雑ながら、あくまで軽快で爽やかなのもブラジリアンのジャズゆえ。
 最初に聞いた際は、あれれ?な印象でしたが、何度か聞いているとその奥深さのようなものが見えてくる、そんな音楽。
 複雑で難解なようで穏やか、穏やかなようでアグレッシブ。
 この界隈の方々、Andre Mehmariが筆頭なのでしょうか?
 みなさんクリエイティブです。



posted by H.A.



【Disc Review】“Colores” (2011) Carmen Paz

“Colores” (2011) Carmen Paz
Carmen Paz (Piano)
Paco Weht (Contrabass) Carlos Falanga (Drums)
Albert Cirera (Soprano, Tenor sax) Pablo Arias (Alto sax) Pablo Selnik (Flute) Roc Albero (Trumpet, Bugle) Josep Tutusaus (Trombone)
Tania Mesa, Aloma Ruiz (Violin) Dolores Nycz (Viola) Sandrine Robilliard (Cello)
Diana Palau (vocal) Marcelo Mercadante (Bandoneon) Pepe Ferrer (Glokenspield)

Colores
Animales en la Vía
2017-04-23


 チリの女性ピアニストCarmen Pazのコンテンポラリージャズ作品。
 ピアノトリオをベースとして、ホーンのアンサンブル、曲によってストリングスのアンサンブル、さらにはバンドネオンやボーカルが加わるカラフルな構成。
 とても穏やかな音の流れ。
 ジャズ特有の都会臭があまり強くなくて、アメリカやヨーロッパのジャズとは一味違う素朴で優し気な空気感。
 いわゆるフォーキーな音、南米フォルクローレな音の流れが根底にあるのでしょう。
 ピアノはオーソドックスで堅実なイメージ。
 派手な音使いはありませんが、緩やかな高揚感を作る音の流れ。
 ホーンもストリングスも近いイメージかもしれません。
 全編通じて緩やかな、でもキチンとしたジャズ。
タイトル通りに「色」のイメージを中心としたのであろう楽曲群。
 黄色、オレンジ、青、赤・・・
 いかにも女性らしいというか、南米フォルクローレ的というか。
 そんな中に一曲収められた、全編ルバートでのスローバラード” Violeta”。
妖しさ含めてECM的なのですが、優しく穏やかな、絶妙なバランス。
 終始静かなフリービートを出すドラム、漂うようなピアノ。
 キツくて派手な「紫」ではなく、あくまでパステルなトーン。
 いい意味で刺激の少ない、ナチュラルで穏やかな、希少なタイプのジャズの一作。

※別のアルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Poema da Gota Serena” (1977,1980,1982,1996,2000,2004) Ze Eduardo Nazario

“Poema da Gota Serena” (1977,1980,1982,1996,2000,2004) Ze Eduardo Nazario
Zé Eduardo Nazario (Drums, Kalimba, Khene, Tabla, Glockenspiel, Mridangam, Percussion, Flute, Whistle, Voice)
Lelo Nazario (Electric Piano, Percussion, Synth, Piano, Xylophone, Bells) Fernando Nélio Porto (Keyboards, Piano) Pereira (Guitar)
Zeca Assumpção (Contrabass, Bass) Luciano Vieira (Bass)
Cacau (Tenor Sax, Flute) Roberto Sion (Flute) Roberto Sion, Teco Cardoso (Soprano Sax) Roardo Bernardo (Tenor Sax) Rommel Fernandes (Violin)
Guilherme Franco, Dinho Gonçalves (Percussion)



 ブラジルのドラマーZe Eduardo Nazarioのコンテンポラリージャズ。
 2015年?再発アルバム。
 1970年代から2000年まで長い期間、1980年代にリリースされたアルバム”Poema Da Gota Serena” (1982)を中心として、2000年のライブなども含めたオムニバス作品
 コンテンポラリージャズというよりも、John Coltraneのフリージャズ、あるいはエレクトリックMilesの流れを汲むアバンギャルドジャズといった面持ち。
 ボサノバ以降、この期のブラジリアンジャズの事情には疎いのですが、エレクトリックMiles系の激しいジャズファンク、あるいはフリージャズ、プログレッシブロックを吸収しつつ、ブラジルエスニックな音が強く混ざった、アバンギャルドなジャズフュージョン。
 ボサノバ的な洗練とは全く別世界な音。
 1970年代のEgberto Gismonti諸作あたりに通じるのかもしれませんが、もっとドロドロとしたコアな色合いでしょう。
 1970-1980年代の演奏はまさにそんな音。
 LPレコード片面一曲の重厚で激しい組曲構成。
 ドンドコドンドコ、ビヒャー、ドカーン、ビユユーン、ケチャケチャ・・・ってな感じ。
 冒頭からド激しいドラムとテナーサックスのDuo、続くこと約8分。
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967) John Coltraneな時間。
 ドラムがアフロっぽいというか、サンバっぽいというか。
 さらにドロムソロ~妖し気な笛の音・・・
 さらには、引っ掻き回されるエレピ系の電子楽器と、カリンバ、マリンバ系、パーカッション、Nana Vasconcelos的ボイスの饗宴、いや狂演。
 南米密林フリージャズ、あるいは南米密林フリーファンク。
 激しいビートと妖し気な音の流れに誘われる陶酔感、その世界にトランスさせてくれる音。
 その種の音楽が流行らなくなったであろう1990-2000年代になると、洗練された感じ、Weather Reportっぽくなったり、キメキメフュージョンっぽくなっていますが・・・
 とても素晴らしいオリジナル”Poema Da Gota Serena” (1982)のジャケットを含めて、包装は爽やか系ですが、中身はドロドログチャグチャ。
 John Coltraneのアバンギャルドジャズ、エレクトリックMilesWeather Report、そしてブラジル大好きな人にとってはたまらない作品でしょう。
 色合いの違う音源が集まっていることはさておき、凄いアルバムです。



posted by H.A.




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