“Last Decade” (2022) Benjamin Lackner
Benjamin Lackner (piano)
Jerome Regard (bass) Manu Katche (drum)
Mathias Eick (trumpet)
ドイツ出身、アメリカ在住?ピアニストBenjamin Lackner、ECMレコードでの初アルバム。
トランペットを迎えたワンホーンカルテットでの静かで穏やかなコンテンポラリージャズ。
リーダーのピアノは繊細で美しい系。
トランペットはノルウェーの哀愁系。
ドラムはカラリと明るいビート感が新感覚なフランスの名手Manu Katche、ベースはこれまたフランスから。
難しい人はいないのに、なぜか不思議系。
このレーベルなので普通のジャズに落ち着かないのはさもありなんとしても、フリーでもない、不協和音系でもない、陰鬱でも、激しくもない。
淡い色合いながら十分にメロディアス、終始穏やかな表情で気難しさはなし。
が、不思議系。
トランペットの醸し出す哀愁、ドラムとベースの明るさ、ポップさ、やんちゃさが混然としつつ、それらを支えるような、抑え込むような、あくまで控えめな美しいピアノ。
そんな主従、イニシアティブが判然としない、かといってフリーインプロビゼーションな感じはなく、いわゆる”アンサンブル”とも違う感じ。
ニュアンスが異なる三者三様が入り混じる、ありそうでないバランス。
哀感とポップネスと美しさの微妙な綾。
それが不思議感に繋がっているのでしょうか。
そして全編を通じた強い浮遊感、淡くて穏やかな表情。
そられが相まって、とても心地よい音。
何度か聞いていくと、最初に感じた違和感が薄らぎ、より心地よく、より美しく感じられる音。
これまた不思議。
これは深い。