吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

World

【Disc Review】“Isabela” (2021) Oded Tzur

“Isabela” (2021) Oded Tzur

Oded Tzur (tenor sax)

Nitai Hershkovits (piano) Petros Klampanis (double-bass) Johnathan Blake (drums)


Isabela
Oded Tzur
ECM
2022-05-13


 イスラエルのサックス奏者Oded Tzur、ECMレコードでの第二作、郷愁感たっぷりのコンテンポラリージャズ。
 前作“Here Be Dragons” (2019)は静かで穏やかな名演でしたが、本作も同じメンバー。
 同胞のピアニストに欧米のベース&ドラム、オーソドックスなジャズカルテット編成。
 冒頭は、僅か二分に満たない時間ながら、静けさから激烈一歩手前まで展開する、このアルバム全体を象徴するようなイントロダクション。
 続いてミディアムテンポに乗った懐かしさが溢れるようなメロディ。
 少々のエキゾチシズムを纏ったSaudadeな世界。
 例によって日本の懐かしいメロディに通じる感じなのが不思議。
 Charles Lloydな感じの透明度が高く美しい音からダーティな音までが交錯するサックス、軽快に動きまくるピアノ。
 このピアノが凄い。
 転がりまくり、要所々で疾走しまくり。
 あくまでサポートしている感じではあるのですが、軽やかで美しいフレージング、強烈な存在感。
 前作では繊細なイメージが強かったように思うのですが、本作では強烈な疾走が前面に。
 同胞の名手Shai Maestroにも近い感じは現代イスラエルの色合いなのかもしれませんし、近年のECMレコードのピアニストの代表的な色合いの一つかもしれません。
 いずれにして凄まじい演奏力。
 終始穏やかな前作とはまた違った、徐々に音量と激しさを増していくハイテンションな演奏が印象に残ります。
 そして終盤に収められた10分を超えるタイトル曲は、今にも止まりそうなスローバラード。
 ドラムが定常にビートを出している時間が長い分、ECMレコードのお約束全編ルバートな感じではないのですが、強烈な浮遊感。
 穏やかで懐かし気なメロディと空気感。
 漂うサックス、軽やかに転がるピアノ、目まぐるしくパターンを変え、テンションを上げながら自由な形に遷移していく、あくまで静かなドラム。
 とてもドラマチック。
 そして締めはいかにもイスラエルな感じのエスニックなメロディ、アップテンポのハイテンションな演奏。
 これまたドラマチック。
 凄まじい演奏力に裏打ちされた、少しだけエスニックな違和感が漂う、Saudadeなコンテンポラリージャズ、今回はテンション高め、ってな感じでカッコいいんじゃないでしょうか。



posted by H.A.



【Disc Review】“Naked Truth” (2021) Avishai Cohen

“Naked Truth” (2021) Avishai Cohen

Avishai Cohen (Trumpet)
Yonathan Avishai (Piano) Barak Mori (Bass) Ziv Ravitz (Drums)


Naked Truth
Cohen, Avishai
Ecm
2022-02-25


 イスラエルのトランペッターAvishai Cohen、ECMレコードから。
 穏やかで不思議なコンテンポラリージャズ。
 ギターが入り先端ロック色も混ざる前作“Big Vicious” (2019)から変わって、オーソドックスなワンホーンカルテット編成。
 その前の“Playing The Room” (2018), “Cross My Palm With Silver” (2016)あたりからさらに抑制された印象の音。
 組曲なのでしょう。
 テーマは自然との関係と絡めた“悟り”的(?)なイメージでしょうか、そんな音。
 全編通じて静かで穏やか、淡い色合い。
 前後左右に舞い散るあくまで静かなシンバル、ドラム。
 控え目なピアノ、ベース。
 絞られた音数、音量、適度なエコーを纏い、まるで耳元で鳴っているようなトランペット。
 とても繊細。
 全編を覆う浮遊感。
 いわゆるテーマからインプロビゼーションといったジャズなフォーマットではありません。
 エキゾチックなのか何なのか、聞き慣れない音階、少し哀し気で不穏な感じがしないでもない、でも決して暗くはない、難解でも気難しくもない不思議感たっぷりのメロディ、というかリフ、というか・・・、なんと申しましょうか。
 ビートは効いていてジャズな感じではあるのですが、前掲の諸作とも違う、なんとも不思議な空気感。
 強い音やドカーンとくる場面はありません。
 が、穏やかに高揚する場面が散りばめられていて、それらと全編を通じた不思議感と浮遊感とのバランスがいい感じ。
 いずれにしても、とても繊細で美しい音と相まって、心地よい音。




posted by H.A.



【Disc Review】“En el jardín” (2020) Yotam Silberstein, Carlos Aguirre

“En el jardín” (2020) Yotam Silberstein, Carlos Aguirre

Yotam Silberstein (Guitar) Carlos Aguirre (Piano, Rhodes, Acordeon, Synth, Bass, Guitarron, Bass Flute, Percussions)

EN EL JARDIN
CARLOS AGUIRRE
Inpartmaint Inc
2021-02-19


 イスラエルのギタリストYotam Silberstein、アルゼンチン、現代フォルクローレの親分Carlos AguirreのDuo。
 Yotam Silberstein、オーソドックスなコンテンポラリージャズなイメージが強いのですが、“Brasil” (2011)、Carlos Aguirre曲の採択、柔らかな音使い、などなど、南米志向な人ではあったのでしょう。
 楽曲を分け合い、ギターとピアノのDuoを中心として、楽曲によって他の楽器がオーバーダビングされる構成。
 キッチリとビートが入るジャズフュージョン寄りな演奏もあり、それら含めてShagrada_Medra系よりも都会的に洗練された感じですが、全体的な印象は現代フォルクローレの空気感。
 いずれにしても、漂いながらサラサラと流れていく静かな音。
 たっぷりのリバーブに包まれた美しいクリーントーンのエレキギター。
 Gilad Hekselman, Kurt Rosenwinkelに近い感じもあったのですが彼らほどには尖がらず、Toninho Horta, Pat Methenyな感じをもっとジャズに寄せた感じでしょうか。
 漂い、消え入るような音の流れ。
 ときおりのジャズな疾走。
 が、あくまで抑制された演奏。
 加えてときおり聞こえるいかにも南米なウイスパーなスキャットがとてもいい感じ。
 キッチリと背景を作っていくピアノ、エレピ、パーカッション、その他諸々。
 Aguirreさんはギターを引き立てる役回りに徹している感じでしょうか。
 南米Saudadeなメロディと空気感、少々の幻想とジャズの洗練が混ざり合う音。
 無国籍南米寄り、川沿い的だけど少々都会寄り。
 とても優しいコンテンポラリージャズ、ってな感じでよろしいのでは。


 

posted by H.A.



【Disc Review】”Human” (2020) Shai Maestro

”Human” (2020) Shai Maestro

Shai Maestro (paino)
Jorge Roeder (bass) Ofri Nehemya (drums)
Philip Dizack (trumpet)

Human
Shai Maestro
ECM
2021-01-29


 イスラエルのピアニストShai Maestro、ECMレコードでの第二作。
 前作“The Dream Thief” (2018)のトリオにアメリカントランペッターが加わるオーソドックスなワンホーンカルテット編成。
 前作と同様、とても繊細でメロディアスなコンテンポラリージャズ。
 浮遊と疾走の交錯。
 軽快で明るい色合いのピアノはMarcin Wasilewski的。
 紗が掛かったような音のトランペットが加わり、ECMでのTomasz Stanko諸作、それらから深刻さ気難しさを排除し明るくしたようなイメージ。
 さりげなく流れるフォーキーな空気感がKeith Jarrettっぽい感じがしないでもない。
 が、複雑ながらも軽快で浮遊感たっぷりなビート感がとても現代的。
 ECMでのお約束、漂うようなフリービート、ルバートでのスローバラードがちりばめられ、アップテンポになってもあくまで抑制的。
 とても上品。
 そんな中に、終盤に向けてテンションとスピードを上げていく超絶疾走が何曲か。
 とてもドラマチック。
 徹底的に熱くなっているようで、埃っぽさや脂っこさはなし。
 痛快、爽快。
 前作と同様、ジャズスタンダードを一曲収めるのはこの人の流儀なのでしょうか、本作では”In a Sentimental Mood”。
 複雑怪奇に変化したビート、メロディも、これまた極めて今風なジャズ。
 全編に流れるほのかな哀感、懐かしい感じ、ほんの少しの違和感はイスラエルなエキゾチシズムでしょうか。
 全部合わせて今風Saudade。
 複雑にしてさまざまな表情。
 が、気難しさなし、あくまでメロディアスでノーブルなコンテンポラリージャズ。
 名演。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“Codona 3” (1982) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona 3” (1982) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, sanza, voice) Don Cherry (trumpet, organ, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, berimbau, voice)



 エスニックフュージョングループCodonaの第三作。
 Collin Walcottが1984年に逝去しますので、これが最終作になるのでしょう。
 相対的にまとまっていた感もある第一作“Codona” (1978)から、ぶっ飛び度が強くなった感もある“Codona 2” (1980)に続く本作。
 もちろんぶっ飛んだ無国籍ワールド。 
 冒頭、“Goshakabuchi”なる日本の伝統曲?からスタート。
 静謐さを醸し出す鐘の音と雅な旋律を奏でるトランペット。
 さらに古楽器dulcimerの高貴な響きが絡み合う桃源郷サウンド。
 徐々にスピードとテンションを上げ、日本的な空気をまとったままの疾走サウンド。
 続いて、陶酔へと誘うシンプルなリフと儀式的ビートの繰り返し、呪文のような妖しいボイスが延々と続く演奏、摩訶不思議な音階を奏でるトランペットとシタール。
 よじれたような静かな子守歌。
 囁き声の合唱が続く中での荘厳?なバラード。
 静かなビートを背景にして歌やらシタールやら妖し気なパーカッションやらが汽笛のような音の交錯。
 最後は静かに緊張感を煽るように鳴り続けるオルガンを背景に、断片的に飛び交うトランペット、意味不明なボイス、パーカッション。
 もう何がなんだかよくわかりません。
 あくまで静かで抑制された音、繰り返されるリフ、ビート、そして妖しい音の数々が、静かな高揚、陶酔へと誘う時間。
 行き着く先は妖しげな桃源郷。




posted by H.A.


【Disc Review】“Codona 2” (1980) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona 2” (1980) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, mbira, timpani, voice) Don Cherry (trumpet, melodica, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, talking drum, berimbau, voice)



 エスニックフュージョングループCodonaの第二作。
 基本的には前作“Codona” (1978)と同様の無国籍・無時代のエスニックフュージョン。
 強烈な浮遊感に覆われた前作と比べると、ビートが明確で定常な演奏、テーマが明確なジャズ的な演奏、また、不可思議なヴォイスが前面に出る場面も多く、若干印象が異なるのかもしれません。
 Naná Vasconcelosさんのパーカッションがたっぷりフィーチャーされ、延々と雄叫びを上げる、なんて時間も。
 ジャズっぽいCollin Walcottの楽曲にしても、トランペットはさておき、シタールや妖し気なパーカッションが背景なだけに、あまり他では聞けないエスニックなんだか、なんなんだかよくわからない、摩訶不思議な世界。
 挙句の果てには、あのNanáさんのケッケッケッケッケなんて音も聞こえてきて、山奥度120%。
 妖しい音を発するパーカッションが延々と鳴り続ける中でのシタール、トランペット、メロディカ、その他の静かでフリーな絡み合い。
 不思議さ、妖しさ200%。
 相対的に整った感もある“Codona” (1978)よりもさらに山奥なのかどこなんだかわからないぶっ飛んだ時間。
 世はフュージョン全盛期のポップでお洒落、あるいはキメキメメカニカル、はたまたシンセでスペーシーな時代。
 そんなことは我関せず、全く明後日の方向、異次元へのトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Codona” (1978) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

“Codona” (1978) Collin Walcott, Don Cherry, Naná Vasconcelos

Collin Walcott (sitar, tabla, hammered dulcimer, kalimba, voice) Don Cherry (trumpet, wood flute, doussn' gouni, voice) Naná Vasconcelos (percussion, cuica, berimbau, voice)

Codona
Codona
Ecm Records
2000-09-12


 エスニックフュージョングループCodonaの第一作、ECMレコードから。
 誰がどう考えたらこの組み合わせが出来たのかよくわかりませんが、スタイリスト三人組。
 インドなシタール、タブラ、ヨーロッパ~中近東な古楽器、キリッとしたジャズ~フリージャズあるいは無国籍な管楽器、ブラジル山奥なパーカッションとヴォイス、さらに日本的な旋律もちらほら。
 全部合わせて世界一周、無国籍なのは言わずもがな、とても幻想的な音。
 冒頭は日本的な音階、雅な感じの弦と笛の絡み合い。
 トランペットが聞こえると現代西洋の空気が少し流れますが、その時間は決して長くなく、山奥的幻想な打楽器、笛の音とともに、どこにいるのかわからない空間に。
 漂うような音の流れを作るシタールやタブラ、ビリンボウの妖しい音もさることながら、ところどころに散りばめられた、琴にも似た古楽器Dulcimerの高貴な響きと、キリッとしたトランペットの絡み合いがカッコいい。
 "Colemanwonder”なんてタイトルのOrnette ColemanStevie Wonderのメドレーがあったりするのもご愛敬。
  どこかすっとぼけた感じも含めてぶっ飛んでいます。
 それでいてとても心地よいのは、沈痛さや深刻さとは無縁の穏やかで懐かしい音の流れ故なのでしょう。
 ナチュラルなトリップミュージックの極めつけ。




posted by H.A.


【Disc Review】‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

Marc Sinan (Guitar, Electronics) Oğuz Büyükberber (Clarinet, Bass Clarinet, Electronics)

White
Marc Sinan
Ecm
2018-05-18

 トルコ、アルメニアをルーツとするギタリストMarc Sinanとトルコの管楽器奏者Oğuz BüyükberberのDuo。
 Marc Sinan は“Fasıl” (Mar.2008) でアコースティックギターでヨーロッパ寄りな音楽をやっていた人。
 本作でもエスニック色はあまり強くない、静かでフリー色の強い不思議な音楽。
 定まらないビートとコードの中のエレキギターと電子音、クラリネットの絡み合い。
 ギターはクリーントーンながら1970年代サイケを想い起こすような音使い、クラリネットは艶やかで朗々としつつも不思議な音階。
 フリーなインプロビゼーションばかりではなく、合奏の場面もありますが、不思議なメロディ、そして気がつけばまた強烈な浮遊と淡い混沌の中。
 ときおり現れる祈りのようなヴォイスが醸し出す敬虔なムード、電子音の宇宙的なムード、さらに突然現れるディストーションの掛かったギターの強烈な音・・・
 深刻で沈痛な面持ちと、何が出てくるのか、どこにたどり着くのか全く予想できない不安感。
 そして極めて透明度の高い美しい音。
 美しいだけにかえって不思議感、不安感120%。
 強烈な非日常へと誘う、摩訶不思議なトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

Kayhan Kalhor (Kemenche) Erdal Erzincan (Baglama)
Ulaş Özdemir (Baglama)

Wind
Kayhan Kalhor
Ecm Records
2006-09-19


 イランのカマンチェ奏者Kayhan Kalhorとクルドのバーラマ奏者Erdal Erzincanの双頭リーダー作。
 カマンチェはバイオリン、バーラマは琵琶の原型あるいは変形の中近東の伝統楽器のようです。
 Kayhan Kalhor は“The Rain” (2001) Ghazalなど、ECMで時々見かける人、その中近東伝統音楽路線。
 例の中近東系音楽のもの哀しいメロディとゆったりとしたビート、終始流れるやるせないムード。
 あるいはいわゆる“悠久”な空気感。
 弦が弾かれる音と擦られる音の絡み合い。
 聞き慣れない響きはプリミティヴなようでもあるし、敬虔なようでもあるし。
 打楽器、声の無いシンプルな編成ゆえの淡々とした音の流れは、形を変えながらゆったりと進んでゆきます。
 一定のパルスを感じさせつつも不規則に停止を繰り返すビート、ときおり激情を託されたような加速を伴う強い音を交えた動きは、寄せては返す波のよう。
 いつ果てるとも知れない音は終盤に向けて徐々にテンションとスピードを上げ、高まる高揚感、最後に訪れる陶酔。
 そして全てが終わった時に訪れる静寂の時間の深淵さ。
 強烈な非日常、静かな陶酔へと誘うトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Playing The Room” (2018) Avishai Cohen, Avishai Yonathan

“Playing The Room” (2018) Avishai Cohen, Avishai Yonathan

Avishai Cohen (Trumpet) Avishai Yonathan (Piano)

Playing the Room
Avishai Cohen
Ecm Records
2019-09-06


 イスラエルのトランペッターAvishai Cohen、同じくピアニストAvishai YonathanのDuo。
 静かで落ち着いたコンテンポラリージャズ。
 Avishai Yonathan はAvishai Cohenバンドのメンバー、“Into The Silence” (2015)、“Cross My Palm With Silver” (2016)にも参加。
 二人とも近年のECMの看板選手になりつつあるのだと思いますが、エスニックには寄らない、またヨーロピアンとも違う、むしろアメリカ的な印象もちらほら。
 演奏の色合いというよりも、二人のオリジナル曲に加えて、John Coltrane, Abdullah Ibrahim, Ornette Coleman, Duke Ellington, Milt Jackson, さらにはStevie Wonderまで取り上げた楽曲のイメージが大きいのでしょう。
 冒頭は美しいピアノと朗々としたトランペットが奏でるバラード。
 スローテンポでのDuoゆえに、揺らぐようなビート感。
 沈痛ではなく、穏やかで懐かし気なセンチメンタリズム。
 続くあちこちに跳ぶオリジナル曲、ゆったりとしたバラードで演奏される”Cresent”も同様の空気感。
 揺らぐ空間の中で鳴り続けるキリッとしたトランペット。
 Duke EllingtonOrnette ColemanMilt Jacksonも同様、穏やかに優しく、そして端正に奏でられていきます。
 ピアノ中心の“Sir Duke”はコミカルな感じですかね。
 などなど合わせて、ハイテンション先端系ジャズにはなりません。
 締めには懐かしいムードのイスラエルの楽曲。
 アメリカンではなくて、イスラエリーなSaudadeはこんな感じなのでしょうかね。
 ともあれ、圧倒的な演奏力に支えられた穏やかなコンテンポラリージャズ。


 

posted by H.A.


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