“Elastic Wave” (2021) Gard Nilssen Acoustic Unity
Gard Nilssen (Drums)
Petter Eldh (Double Bass) André Roligheten (Tenor, Soprano, Bass Saxophones, Clarinet)
ノルウェーのドラマーGard Nilssenのサックストリオ、ECMレコードから。
リーダーは“Three Crowns” (2019) Maciej Obara Quartet、“Skala” (2010) Mathias Eickなど、ノルウェーの人の作品でよく見かける人。
本作は同じくノルウェーのサックス奏者をフロントに立てたバンド、ピアノレストリオ。
摩訶不思議系ジャズ。
Ornette Colemanの影響が強いようで、また違った色合い。
不思議系のメロディのテーマを決めたら後はビートをキープしつつ自由に、ってなところは似ているのですが、オーソドックスにベースとドラムがリズムをキープするOrnette Colemanバンドに対して、このバンドのリズムとコードのキープ役はサックス、その後ろで暴れまくるドラム、行ったり来たりのベース、そんなバランスの場面が多い感じ。
リーダーのドラムは、決して激しい音でも大きな音でもないのですが、とにかく自由。
あちこちに飛び回る打撃音。
ベースはときおりCharlie Hadenな感じも見せる動きまくり系。
サックスは近年に多い鋭く繊細な感じの音色。
あの時代のフリージャズを想い起こす感じだったり、ピアノレスでのSonny Rollinsな感じもしたり、もどかし気な緊張感はJohn Coltraneな感じでもあったりしますが、こってりした感じはなく、スッキリ系。
全部合わせて紛れもない不思議系ではありますが、沈痛さ陰鬱さはなく、激烈な場面も混沌もなし、うるさい場面もありません。
ぶっ飛んだ感じながらサラリとした感じがいかにも今風。
さらにテーマやインプロビゼーションの中に北欧系の懐かし気なメロディが見え隠れして・・・
かつてのジャズの香り、エスニックな香りを振り撒きつつの新しい質感。
小人数、ピアノレスならではのほどほどの余白。
その中に響く各楽器の残響がとてもクール。
そんなハードボイルドな今風ジャズ、不思議系。
posted by H.A.