“Naked Truth” (2021) Avishai Cohen

Avishai Cohen (Trumpet)
Yonathan Avishai (Piano) Barak Mori (Bass) Ziv Ravitz (Drums)


Naked Truth
Cohen, Avishai
Ecm
2022-02-25


 イスラエルのトランペッターAvishai Cohen、ECMレコードから。
 穏やかで不思議なコンテンポラリージャズ。
 ギターが入り先端ロック色も混ざる前作“Big Vicious” (2019)から変わって、オーソドックスなワンホーンカルテット編成。
 その前の“Playing The Room” (2018), “Cross My Palm With Silver” (2016)あたりからさらに抑制された印象の音。
 組曲なのでしょう。
 テーマは自然との関係と絡めた“悟り”的(?)なイメージでしょうか、そんな音。
 全編通じて静かで穏やか、淡い色合い。
 前後左右に舞い散るあくまで静かなシンバル、ドラム。
 控え目なピアノ、ベース。
 絞られた音数、音量、適度なエコーを纏い、まるで耳元で鳴っているようなトランペット。
 とても繊細。
 全編を覆う浮遊感。
 いわゆるテーマからインプロビゼーションといったジャズなフォーマットではありません。
 エキゾチックなのか何なのか、聞き慣れない音階、少し哀し気で不穏な感じがしないでもない、でも決して暗くはない、難解でも気難しくもない不思議感たっぷりのメロディ、というかリフ、というか・・・、なんと申しましょうか。
 ビートは効いていてジャズな感じではあるのですが、前掲の諸作とも違う、なんとも不思議な空気感。
 強い音やドカーンとくる場面はありません。
 が、穏やかに高揚する場面が散りばめられていて、それらと全編を通じた不思議感と浮遊感とのバランスがいい感じ。
 いずれにしても、とても繊細で美しい音と相まって、心地よい音。




posted by H.A.