“Naked Truth” (2021) Avishai Cohen
Avishai Cohen (Trumpet)
Yonathan Avishai (Piano) Barak Mori (Bass) Ziv Ravitz (Drums)
イスラエルのトランペッターAvishai Cohen、ECMレコードから。
穏やかで不思議なコンテンポラリージャズ。
ギターが入り先端ロック色も混ざる前作“Big Vicious” (2019)から変わって、オーソドックスなワンホーンカルテット編成。
その前の“Playing The Room” (2018), “Cross My Palm With Silver” (2016)あたりからさらに抑制された印象の音。
組曲なのでしょう。
テーマは自然との関係と絡めた“悟り”的(?)なイメージでしょうか、そんな音。
全編通じて静かで穏やか、淡い色合い。
前後左右に舞い散るあくまで静かなシンバル、ドラム。
控え目なピアノ、ベース。
絞られた音数、音量、適度なエコーを纏い、まるで耳元で鳴っているようなトランペット。
とても繊細。
全編を覆う浮遊感。
いわゆるテーマからインプロビゼーションといったジャズなフォーマットではありません。
エキゾチックなのか何なのか、聞き慣れない音階、少し哀し気で不穏な感じがしないでもない、でも決して暗くはない、難解でも気難しくもない不思議感たっぷりのメロディ、というかリフ、というか・・・、なんと申しましょうか。
ビートは効いていてジャズな感じではあるのですが、前掲の諸作とも違う、なんとも不思議な空気感。
強い音やドカーンとくる場面はありません。
が、穏やかに高揚する場面が散りばめられていて、それらと全編を通じた不思議感と浮遊感とのバランスがいい感じ。
いずれにしても、とても繊細で美しい音と相まって、心地よい音。
posted by H.A.