“Puerta” (2020) Jorge Rossy


Jorge Rossy (vibes, marimba) 

Robert Landfermann (double bass) Jeff Ballard (drums, percussion)

Puerta
Jorge Rossy
ECM
2021-11-05


 スペインのパーカッション奏者Jorge Rossyのトリオ作品、ECMレコードから。

 Brad Mehldau, Kurt Rosenwinkel, Jakob Bro, Steve Swallowといったつわものたちの作品にドラマーとして参加していた人。

 本リーダー作ではドラムは他の人に任せて、自身はヴィブラフォンとマリンバに徹したオーソドックスなトリオ編成。

 このレーベルでこの編成なら、静かで幻想的でフリー交じりで・・・、あるいはクラシカルで敬虔な空気感で・・・とかになりそうですが、そうではありません。

 静かなのはその通りなのですが、ジャズな感じ、たっぷり。

 ステディなジャズワルツに4ビート、テーマ~インプロビゼーションといったオーソドックスな展開が中心。

 それも朴訥系。

 このレーベルにしては異色でしょう。

 ちょっとひねったジャズスタンダードのようなメロディたち。

 左右に広がりながら浮遊する硬質でクールなヴィブラフォン。

 しばしば鳴るマリンバの木質で素朴な音。

 フリーっぽかったり妖しかったりする場面もあります。

 それら含めて幻想的ではあるのですが、日常を逸脱しない安定のある音の流れ。

 シンバルのレガートやら、ウォーキングするベースとか懐かしいなあ。

 かといってモダンジャズな感じはありません。

 どこか変。
 Bobby Hutcherson諸作や“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyあたりを想い起こさないこともないのですが、全く違う今の時代の優しく淡い音。

 そのバランスがとても心地いい。

 十分にクールで十分に妖しい。

 でも平和です。





posted by H.A.