“L'Affrontement des Prétendants” (1999) Louis Sclavis
Louis Sclavis (Clarinet, Bass Clarinet, Soprano Saxophone)
Bruno Chevillon (Double-Bass) François Merville (Drums)
Jean-Luc Cappozzo (Trumpet) Vincent Courtois (Cello)
フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、1999年作。
アルバムごとに編成が変わりますが、本作はコード楽器なし。
ドラム、ベースとのトリオにトランペットとチェロがフロントに加わる編成。
ジプシー系由来なのでしょうか、せわしなく複雑怪奇にアップダウンしながらこれでもかと続くすっとぼけたようなメロディを奏でるアンサンブル。
妖しく不穏な例の空気感。
ヒタヒタと迫ってくるようなビートを作るジャズなベースとドラム。
ピアノ、ギターレスゆえのクールなムード。
その上を縦横無尽に飛び跳ねるジャズなトランペット、緊張感を煽るチェロ、艶やかなクラリネット。
ほどよいリバーヴを伴ったECMな美しい音。
そんな音で奏でられる摩訶不思議な旋律。
長いテーマの提示、アンサンブルが終わると始まる強烈なインプロビゼーション。
混沌に突っ込んでいきそうでいかない、一歩手前ぐらいの危ういバランス。
ときおり伸び縮みするビートを含めて、一時期のMiles Davis クインテット、Ornette Colemanのような場面もある激しい系なジャズ。
凄まじいまでの加速感、疾走感。
が、テーマ、アンサンブルに戻ると不穏な不思議系・・・
そんな掴みどころがあるようなないような、不思議な演奏の連続。
そして静かな混沌の中で幕。
ん?
タイトルは“両手の対立”あるいは“求婚者の対立”の意?
なるほど、それは摩訶不思議。
※近年の演奏から。

posted by H.A.