“Acoustic Quartet” (1994) Louis Sclavis
Louis Sclavis (Clarinet, Bass Clarinet)
Marc Ducret (Guitar) Bruno Chevillon (Double-Bass)
Dominique Pifarély (Violin)
Louis Sclavis (Clarinet, Bass Clarinet)
Marc Ducret (Guitar) Bruno Chevillon (Double-Bass)
Dominique Pifarély (Violin)
フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、ECMレコードでのおそらく第二作。
ECMではこの後アルバムごとに編成を変えていきますが、本作は打楽器なし、“Rouge” (1991)のピアノがギターに変更。
タイトル通り電子音はなし、先端系ロック系がメインであろうギターもアコースティックギターに徹しています。
楽曲、演奏は現代音楽的。
抽象的ではないにせよ、聞き慣れない音階、複雑にアップダウンする旋律、沈痛、陰鬱な空気感。
バイオリンとチェロが醸し出す強烈な緊張感。
それらとギターのコール&レスポンスの場面がたっぷり。
メロディはジプシー系かスパニッシュ系か中近東系か、それらが交錯する流れ、繰り返されるリフはKing Crimsonな感じ、あるいはミニマルな感じ。
ときおりそれらを抜け出すクラリネット、バイオリン、ギターの凄まじい疾走。
が、再び周囲が絡みつき、陰鬱なリフ、コレクティブインプロビゼーションの混沌の中・・・地の底へ引きずり込まれるような絶望感・・・と感じるかどうかはさておき、強烈な緊張感。
過激なはずのギターの音がむしろ爽やかに、妖しいはずのバスクラリネットのジャズな演奏が現実に引き戻す役回りに聞こえてしまう、そんなバランス。
“Rouge” (1991)にあった仄かに明るいムードななく、終始ダークな緊張感が続きます。
そんな気分に浸りたい際には最適な一枚。
でも、ちょっと怖い。

posted by H.A.