“Characters On A Wall” (2019) Louis Sclavis

Louis Sclavis (Clarinets)
Benjamin Moussay (Piano) Sarah Murcia (Double Bass) Christophe Lavergne (Drums)

Characters On A Wall
ECM Records
2019-09-20


 フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、2019年作、オーソドックスなジャズ編成カルテット。
 本作では先端エレキギターもバイオリンもエレピも出てきません。
 そんな普通な編成で、普通に寄った摩訶不思議なLouis Sclavisワールド。
 例の妖しい旋律を奏でるクラリネットと、あくまでメロディアス、不協和音までが美しいピアノが絡み合う美しいコンテンポラリージャズ。。
 ECMでのお約束、ルバートでのスローバラードの時間もたっぷり。
 Benjamin Moussayは“Sources” (2012)辺りからの準レギュラーなのだと思いますが、この共演でこれほど普通にコンテンポラリージャズピアノを演じることはなかったように思います。
 ECMでのソロ作品“Promontoire” (2019)よりも強い躍動感。
 漂い、零れ落ち、ときに疾走する、クラシックをまとった美しい音。
 タダ者ではない感、たっぷり。
 そんなピアノが全体のイメージを支配している感じでしょうか、例の不穏さはなく、激しさ、妖しさ、不思議さが抑制された印象。
 漂うビート、美しいピアノの響きの中を泳ぐ艶やかなクラリネット。
 現代音楽的、あるいは激しいプログレッシブロックな場面はなく、4ビートとはいかずとも、あくまでジャズな感じが勝ります。
 全編通じて不思議さはほどほど、抑制された美しいヨーロピアンコンテンポラリージャズ。
 毒気をお求めの向きには、さて、どうでしょう。
 ぶっ飛んだり死に至ったりする感じはありませんが、十分に痺れるほどの成分が混ざっていると思います。
 私的にはこのくらいがちょうどいい感じ。
 美しい音が支配する名演奏。


 

posted by H.A.