“Agora” (2020) Bebel Gilberto

Bebel Gilberto (Vocals)
Thomas Bartlett (Keyboads, Percussion, Piano, Programming)
Magrus Borges (Drums, Percussion) Mart'nália (Vocals)

AGORA
BEBEL GILBERTO
[PIAS] RECORDINGS
2020-08-26


 Bebel Gilberto、2020年作。
 御父上はお隠れになられてしまいましたが、娘さんの久々のアルバム。
 大ヒットしたのでしょう“Tanto Tempo” (2000)に近いテイスト、電子音混じりの現代~未来感漂うブラジリアンポップス。
 ボッサやフォークなアコースティックな感じはなく、全編通じて先端クリエーターが作ったのであろう、静かで妖しい今の音・・・
 ・・・だと思うのですが、なぜか漂うノスタルジー。
 遠くから聞こえてくるようなビートと周囲を包み込むような電子音、コーラス、その少し前に立つウイスパーなヴォイス。
 フワフワとした時間。
 テンポが上がっても、打楽器が強い音を出しても、妖しげな電子音が聞こえても、あくまでゆったりとした優雅で静かな音。
 一番明確に響いてくるのは、リバーヴに包まれたウイスパーヴォイス。
 哀愁漂う、でも暗くはないポップでキャッチ―なメロディたちも、そんな音に溶け込んで淡い乳濁色の靄の中。
 ノスタルジックな空気感の源泉は、そのメロディなのか、声と歌なのか、先端とエスニックが交錯する抑制されたサウンドなのか、何なのか、わかりません。
 これぞ21世紀型Saudade・・・かどうかもわかりません。
 とにもかくにも御父上、御母上はやらないであろう現代の音。
 が、同じく静かで優しくて、最高に心地よい音。


 

posted by H.A.