“La traverse” (2019) Matthieu Bordenave
Matthieu Bordenave (Tenor Saxophone)
Florian Weber (Piano) Patrice Moret (Double Bass)
フランスのサックス奏者Matthieu Bordenave、ドラムレストリオ。
日本人ドラマーのECMでのアルバム“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumoriに参加していた人。
そちらと同様、とても繊細な音。
サポートはドイツの名ピアニストFlorian Weberに、ベースはスイスのColin Vallon Trioの人。
近年のECMの管楽器入りアルバム、オーソドックスなジャズな感じのモノも多い印象がありますが、本作は違うテイスト。
静かでほどほど抽象的、フリー混じりのコンテンポラリージャズ。
静かでほどほど抽象的、フリー混じりのコンテンポラリージャズ。
終始ゆったりした漂うようなビート。
ドラムレスゆえの浮遊感と余白。
ほどよいサブトーンを含んだ力みのないサックス、零れ落ちてくるピアノ、穏やかなベースの絡み合い。
サックスはECMのCharles Lloydをさらに繊細に淡くした感じでしょうか。
不思議感たっぷり、普通にメロディスな感じとは少しズレた感じの音の流れ。
但し、極めて美しい音。
最初から最後までゆったりと、美しい音が漂い、ときに軽やかに疾走しながら、サラサラと流れていきます。
普通ではないながら気難しく聞こえないのは、美しい音と、個々のフレーズがメロディアスだからでしょうか。
さわると壊れてしまいそうな繊細さ。
集中して聴けば緊張感たっぷり。
が、暗くなくない優しい音、サラサラした質感ゆえ、BGMとしてもいい感じ。
白い壁の現代美術館で流れていそうな感じもしますが、それよりも温度、湿度高め、少々脂がのった人臭い音、そんなバランス。
白い壁の現代美術館で流れていそうな感じもしますが、それよりも温度、湿度高め、少々脂がのった人臭い音、そんなバランス。
ジャケットもそんな感じですね。
いずれにしても淡くて美しい時間。
いずれにしても淡くて美しい時間。
どう使うかはその時の気分次第。

posted by H.A.