“Looking At Sounds” (2019) Michel Benita
Michel Benita (Double Bass, Samples)
Jozef Dumoulin (Rhodes) Philippe Garcia (Drums, Samples) Matthieu Michel (Flugelhorn)
フランスのベーシスト、大御所なのでしょうMichel Benita、フリューゲルホーンをフロントに立てたワンホーンカルテット作品。
少し前、同じくECMレコードからの“River Silver” (2015)のバンドから先端ギターと箏が抜け、エレピが加わるオーソドックスなジャズの編成。
が、ボリュームペタルを駆使するエレキギターのような音が鳴っていて、これはホントにエレピなのでしょうか?、オーソドックスなジャズではありません。
心地いいフワフワとした電気な音。
そんな音に包まれた柔らかなコンテンポラリージャズ。
どこか哀しみを湛えたような、が、暗くはない空気感と、どこか懐かしさを感じるメロディ。
上品なグルーヴを伴った強い推進力のビート。
サラサラと流れていく力みなくクールなフリューゲルホーン。
柔らかで心地よい音が揃い、メロディアスで気難しさ無し。
“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davisを徹底的にスムーズにして、現代的にして、わかりやすくした、そんな感じの洗練。
そんな中で各曲終盤に向けての穏やかな高揚感、キツくない緊張感、ときおりの疾走、あるいは中盤に収められたルバートなスローバラード、穏やかな混沌、幻想がとてもカッコいい。
脂っこくなく、気難しくなく、明るすぎず暗すぎず、軽すぎず重すぎず、冷たすぎず暖かすぎず、古すぎず新しすぎず・・・
ありそうでない、絶妙なバランス。
柔らかくて心地いい、スタイリッシュな現代ジャズ。

posted by H.A.