“Officium Novum” (2010) Jan Garbarek, The Hilliard Ensemble

Jan Garbarek (Soprano, Tenor Saxophone)
The Hilliard Ensemble:
David James, Gordon Jones, Rogers Covey-Crump, Steven Harrold (Vocals)

Officium Novum
Hilliard Ensemble
Ecm Records
2010-10-05


 Jan Garbarek、The Hilliard Ensembleとのアンサンブル、“Officium” (1993)、“Mnemosyne” (1999)に続く第三作。
 前作から十年が経過しているようですが、ここまでの二作と同様に、静謐、清廉、敬虔な天上サウンド。
 第一作“Officium” (1993)では、コーラスとサックスが別の場所から聞こえるように、あるいは対峙しているように聞こえ、それが特別な緊張感を醸し出していたように感じました。
 本作、前作では、サックスの音量をわずかに落とし定位を調整したのか、サックスがコーラスの一部のように全体が溶け合う場面が増えたように感じます。
 元々極限までに洗練されていたようなサウンドが、さらに洗練され、熟成し、より柔らかくマイルドになったようにも感じます。
 が、それは聞いた際のこちらの気持ちの違いなのかもしれませんし、楽曲の違いに寄るところなのかもしれません。
 本作ではKomitasの楽曲が多く取り上げられ、アルメニアをテーマにしているのかもしれません。
 いずれにしても、キリリとしつつもまろやかなサックスの音とフワリとしたコーラスが一体化して周囲を包み込む、極上の音。
 哀しげでやるせない空気感、が、前向きで優しい音。
 ヨーロッパ近辺の人々にとっては、もっと深い捉え方ができる特別な音なのでしょう。
 歴史観、宗教観が全く異なる極東の現代人にとっても、最高の慈しみサウンド。


 

posted by H.A.