“Here Be Dragons” (2019) Oded Tzur
Oded Tzur (tenor sax)
Nitai Hershkovits (piano) Petros Klampanis (double bass) Johnathan Blake (drums)
ピアノトリオにサポートされたシンプルなカルテット編成。
全編静かなジャズ。
“Fish Out of Water” (1989) Charles Lloyd、近年では“Three Crowns” (2019) Maciej Obaraあたりに通じるECMなジャズサックス作品、もっと穏やかで淡い音。
ECMレコードでのお約束、全編ルバートでのスローバラード、とまではいかずとも、そんな感じのゆったりとしたテンポが中心。
淡い色合いの空気感の中、静かに零れ落ちるピアノ、力が抜けた漂うようなテナーサックス。
どこか懐かしいメロディは欧米とは違う流れ、日本の童謡的、あるいは子守唄的な感じ。
イスラエルの人のジャズにしばしば感じる穏やかなエキゾチシズム。
日本人アーティストのECMレコード作品“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumoriに近い空気を感じるのは気のせいでしょうか。
多少テンポが上がっても、抽象度が上がっても、尖がらずベタつかない、さらりとした音。
静かで穏やかなムードは変わりません。
静かで穏やかなムードは変わりません。
全編そんな音の流れの中、締めはなぜかElvis Presleyのバラード。
全体の空気感にフィットしているといえばそうなのですが、これがECMで演奏されるとは・・・
さておき、近年のECMレコード、棘がない甘くもない淡く穏やかな音、あるいはこのレーベルにしてはジャズに寄った音が少なくないのですが、本作はその真ん中、前者寄り。
さらに加わるほのかなエキゾチシズム。
Saudadeなジャズ。

posted by H.A.