“Unforgettable” (Aug.1992) Joe Pass
Joe Pass (guitar)
Joe Pass、アコースティックギターでの独奏。
“Song for Ellen” (Aug.1992)と同じく、亡くなる二年前の演奏、そちらに遅れて1998年発表。
少し違う、沈んだ空気感。
アップテンポでスウィンギーな演奏も少なくない“Song for Ellen”に対して、概ね全般バラードの本作。
静かに漂うような音の流れ、ゆっくりと爪弾かれるジャズスタンダードたち。
タメを効かせて揺れながら置かれていく音。
ソロ演奏ゆえ、自在に伸び縮みするタイム感も含めて、強い浮遊感、情緒的でとても繊細。
前作ともにどこか遠い所、静かで懐かしい場所、時間へと誘うトリップミュージックですが、トリップ度はこちらが上。
ゆっくりと所々で淀みつつも、穏やかに変わっていく周囲の景色。
夢と現、前者の勝ち。
より流麗で端正なのは“Song for Ellen”かもしれません。
が、淀みも含めて、本作の方がより優しい感じ。
2019年時点、本作の方がたくさん流通している感じがするのは、そんな理由からなのかもしれません。
いずれにしても、いずれ劣らぬAmerican Saudadeな名演集。
posted by H.A.