“For Olim” (1986) Cecil Taylor
Cecil Taylor (piano)
Cecil Taylor、1986年のソロピアノ、コンボでの“Olu Iwa” (1986)に先立つ日のステージ、ライブ録音、イタリアのSoul Noteから。
15分を超えるタイトル曲と短めな演奏7曲とクレジットされていますが、少々のブレークを挿みつつも全一曲のように演奏は続いていきます。
冒頭、静かに断片的に音を置いていくシーンからスタート。
どの方向に動くか探っているようにも、鍵盤と戯れているようにも聞こえます。
しばしばの間断を挿みつつの短いパッセージの繰り返し、不規則で断片的に形を変えるパルスのような動き。
徐々にスピードが上がるにつれて音の断片が集まっていき、気がつけば何かが崩れ落ちてくるような、あるいは舞い上がっていくような高音の嵐。
激しい動きの高音と叩きつけるような不協和音、低音のアンサンブルで一曲目は幕。
その流れをそのまま引き継いだ二曲目。
さらに上がるテンションとスピード・・・
わずかな時間、哀し気なバラードのメロディが奏でられるパートを経て、再び始まる疾走と連打・・・
コンボでは他の音と混ざって聞こえてこなかったピアノの動きの詳細がよく見えてきます。
短い周期での瞬断とフレーズの変化は、不規則に打ち寄せる波のようでもあるし、感情の起伏、あるいは鼓動のようにも聞こえます。
そして方向を見定めたかのように始まる疾走、怒涛・・・
コンボでの凄まじいエネルギー放出とはまた違った、生々しいCecil Taylorサウンド。
posted by H.A.