“Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman

Gilad Hekselman (guitar)
gHex Trio : Rick Rosato (bass) Jonathan Pinson (drums) Dayna Stephens (EWI)
ZuperOctave : Aaron Parks (piano, keyboards) Kush Abadey (drums, pads)

Further Chaos
Motema Music, LLC
2019-05-10


 ニューヨーク系コンテンポラリージャズのギタリストGilad Hekselman の新作。
 前作“Ask for Chaos” (2018)と同時期のセッションから。
 同じく、先端系変則トリオZuperOctave+αとシンプルなギタートリオgHex Trioの二つのバンドの音源で構成されています。
 冒頭はZuperOctave+α、ヘビーなビート、ディストーションが効いたギターとEWIが唸りまくる、超弩級ハイテンション・プログレッシブ・ジャズフュージョン。
 これはこの人にしては・・・が、凄い演奏。
 そこを抜けると軽快なビートと突っ走る艶々のクリーントーンのギターのいつもの世界。
 gHex Trioに変わって、拍子抜けしてしまうような力が抜けたジャズワルツ。
 が、静かに柔らかにギターが突っ走り始めると心地よさ最高のパラダイス。
 続くは、シンセなベースとエレピ、たっぷりなエコーが未来感を醸し出しつつ、決めのメロディがセンチメンタル、静かなZuperOctave。
 そしてgHex Trioでのフォーキーなバラード、さらに、あの超高速、超絶技巧の“Teen Town”(!)が、乾いたスネアの音に彩られ、クールで軽快な現代的な音に様変わり。
 締めはZuperOctaveによる”Body & Soul”。
 ミスマッチにしか思えない選曲ですが、これがカッコいい。
 超スローテンポ、優雅なメロディとコードをしっかりと生かしつつ、どこかに消え入るような繊細なギターの音とエレピが醸し出す未来的超浮遊感。
 とんがっているようで、実際にとんがっていて、それでいて柔らかな音。
 そしてこの人の諸作と同様、さりげなくドラマチック。
 新しさと伝統の狭間、かなり新しさ寄り。
 が、頭でっかちさなし、聞き流しても心地よい音。
 収録時間40分程、アウトテイク集なのか試作集なのか何なのか、実情はさておき、中身は“Ask for Chaos” (2018)と同じく、これまたカッコいい演奏集。




posted by H.A.