“Música para Cordas” (2019) André Mehmari

André Mehmari (piano, cravo) 
Strings andJosé Staneck (harmônica) Emanuelle Baldini (violin, regência) Gabriele Mirabassi (clarinet) Christian Riganelli (Accordion) Paola Baron (harp) Fábio Cury (fagote)
Neymar Dias (contrabass) Sergio Reze (drum)
and Strings



 ブラジルのピアニストAndré Mehmariのストリングスを中心としたクラシック。
 本作はジャズ、ポップス色全くなしの正調クラシック。
 タイトルは”弦楽器のための音楽”。
 弦楽器オーケストラのみの演奏から始まり、中盤からはハーモニカ、アコーデオン、ファゴット、ハープなど、そして締めにジャズピアノトリオとの協奏曲。
 ゆったりとしたテンポ、哀しみを湛えた重い表情のメロディ、強い緊張感。
 短いタイミングで変わってゆく景色、重いテーマの映画のサントラの面持ち。
 そんな弦楽器オーケストラの演奏の後、徐々に音楽は明るくなり、柔らかなハーモニカと弦楽器の優雅な絡み合いが始まります。
 CD二枚目に移って、クラリネットとアコーデオン、ファゴットとハープと弦楽器の共演は、強い緊張感と柔らかな空気感が交錯する音。
 たびたび登場するワルツ系のビートは、南米フォルクローレの色のようでもあるし、ヨーロッパ伝統の色のようでもあるし。
 いずれにしても、とても優雅。
 そして締めの約20分、ようやく登場するピアノとストリングスの共演。
 やはりクラシカルですが、ジャズなビート、あの疾走、躍動、転げまわりをところどころに散りばめながらのゴージャスな音。
 これまたとても優雅。
 そしてこの人の音楽らしく、とても前向きなエンディング。
 明示されたタイトルやストーリーはありませんが、山あり谷ありの一大音楽ドラマ。
 当方、この種の音楽には明るくないアウトサイダーではありますが、心地よく優雅で上品な別世界にトリップできました。
 よろしいのではないでしょうか。




posted by H.A.