“Unit Structures” (May.1966) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano, bells)
Alan Silva, Henry Grimes (double bass) Andrew Cyrille (drums)
Eddie Gale (trumpet) Jimmy Lyons (alto saxophone) Ken McIntyre (alto saxophone, oboe, bass clarinet)

Unit Structures
Cecil Taylor
Blue Note Records
1995-11-29


 Cecil Taylor 、1966年作、Blue Noteから。
 ぶっ飛んだフリージャズ。
 この頃、御大Miles Davieは“Miles Smiles”(Oct.1966)あたり、モダンジャズの枠組みを崩さないで次の世界を探索中。
 “Kulu Sé Mama” (1965)で先に遠い所へ旅立ってしまった John Coltraneとはまた違ったムードの激烈系。
 ぶっ飛んでいているようで準備周到であったのであろうアンサンブル。
 テーマを決め、要所で繰り返されるブレーク。
 約束事を終え、点火すると一気に疾走するバンド。
 伸び縮みするビート、必死にペースをキープしようとも聞こえるベース、自由に叩いているようでフロントに激しく反応する変幻自在なドラム。
 突っ走るアルトサックスと、その後ろでさらに速い速度で転げまわるピアノ。 
 普通の4ビートの中では納まらないのであろう、強烈極まりないスピードの疾走。
 コードの中では納まらないのであろう、激しい上下動。
 ここまでくれば不協和音とかスケールアウトとかを超越した何か。
 凄まじいまでの演奏力に支えられた怒涛のような音の洪水。
 ブチ切れているようで、実は余裕たっぷり、混沌、崩壊一歩手前にコントロールされたような音は、どこかクールにも感じられます。
 また、なんだかんだでジャズな空気感もたっぷり。
 それがハードボイルドなカッコよさ。
 サウナの中で全力疾走、でも頭の芯は冴えている、そんな心地よさ。
 超弩級エネルギー放射型フリージャズ。




posted by H.A.