“La musica del agua” (2019) Carlos Aguirre

Carlos Aguirre (piano, vocal)



 現代フォルクローレのリーダーの一人Carlos Aguirreの2019年最新作。
 全編歌物、ピアノの弾き語り。
 リーダー作は“Calma” (2017) Carlos Aguirre Trío以来でしょうか。
 コンテンポラリージャズなそちらに対して、本作は濃厚な現代フォルクローレ色。
 テーマは『水の音楽』。
 楽曲は自身のオリジナルではなく、おそらくは南米の先人たち、Shakrada Medraで名前を見受ける仲間たちの作品。
 ここまでのリーダー諸作と少し印象が異なるのは、それが大きいのかもしれません。
 バラード中心、少しずつ各曲の表情は異なります。
 もちろん、いずれもフォルクローレの香りたっぷり、優しく少し悲し気なメロディ。
 それらが丁寧に綴られていきます。
 “Carlos Aguirre Grupo (Crema)” (2000)の華やかなアレンジ、強烈なセンチメンタリズム、“Carlos Aguirre Grupo (Violeta)” (2008)の激しさ、ドラマチックさはありません。
 全編に漂うほのかなセンチメンタリズム、やるせなさ、遠いところを眺めているようなムード。
 が、悲痛さはありません。
 Saudade。
 そんな空気感の中、優しいメロディが穏やかに奏でられ、歌われ、流れていきます。
 脚色や演出を取り除いた生のアルゼンチンSaudadeは、こんな感じの音なのでしょうね。


※少し前の演奏から


posted by H.A.