“Third Reel” (2012) Nicolas Masson, Roberto Pianca, Emanuele Maniscalco
Nicolas Masson (Tenor Saxophone, Clarinet) Roberto Pianca (Guitar) Emanuele Maniscalco (Drums)
スイスのサックス奏者Nicolas Massonを中心としたヨーロピアンの変則トリオ、ECMでの初作。
静かで妖しい、強烈な浮遊感、少しだけフリーの色合いのコンテンポラリージャズ。
冒頭はBill Frisell的な漂うギターを背景にし、漂うようなサックスのバラード。
穏やか系・・・と安心するのは束の間。
ディストーションを効かせたギターが掻き鳴らされ、高速なシンバルの4ビート。
そんな中でゆったりと沈痛で深刻なメロディを奏でるサックス。
が、そんな激しい場面も束の間、数曲のみ、激烈にはなりません。
サブトーン、ビブラートの少ない、いかにも現代的なクールなサックス。
また、ECMらしく透明度の高い音。
あくまで静かに、ゆったりと漂うような演奏。
各曲はコンパクトにまとめられ、次々と景色は変わっていきます。
あくまで静かに、ゆったりと漂うような演奏。
各曲はコンパクトにまとめられ、次々と景色は変わっていきます。
共通するのは哀感と浮遊感、強い緊張感、そして静かな空間に響く心地いいサックスの音。
静かで内省的な空気感、迷宮の中を彷徨っているようなムード。
残響音の後の静寂な瞬間に覚醒するか、微睡に落ちるか。
あるいは、この静けさと沈痛さ哀しさが錯綜する空気感に安らぎを感じるか、不安を感じるか。
いずれにしても強烈な非日常感、これまた心の中を覗き込むような時間。
どこか遠い所へと誘うトリップミュージック。
posted by H.A.