“Partir” (2018) Elina Duni
Elina Duni (voice, piano, guitar, percussion)
アルバニアをルーツとするボーカリストElina Duni、ECMでの第三作。
“Matane Malit” (2012)、“Dallendyshe” (2014)と二作続いたピアノトリオとのバンドから、本作は自身で楽器を演奏したソロでの制作。
ピアノ、ギター、パーカッションの弾き語りを中心として、ここまでの諸作に増して静かでゆったりとしたムード。
音を探すように置かれていくギター、ピアノと美しい声。
背景の音が薄いだけに、美しい声の透明度がより際立って聞こえてきます。
楽曲はここまでの同様に、アルバニア、バルカン半島トラディショナル。
アルバニアがどんな場所なのかは知りません。
南ヨーロッパの陽光に包まれた温かい場所なのだろうと思いますが、ヨーロッパと中近東の狭間、政治体制の狭間なだけに、歴史的にもいろいろ訳ありな場所なのでしょう。
全体を包み込む仄かな哀しさ、祈りにも似たムード。
かといって絶望とはニュアンスが違う、暗くはない柔らかな空気感。
南米系Saudadeと比べると、遠い所を眺める感じは同様ですが、より強く直接的な哀しさを感じます。
ちょうどジャケットのさりげないポートレートのような音。
この空気感がアルバニアンSaudadeなのでしょうかね。
これまた非日常へのトリップミュージック。
posted by H.A.