“Le Vent” (2014) Colin Vallon & Patrice Moret & Julian Sartorius
Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Julian Sartorius (drums)
スイスのColin Vallon率いるピアノトリオ、ECMでの第二作。
前作“Rruga” (2011)からドラマーが交代しましたが、そちらと同様、ミニマルな感じも強い不思議系ヨーロピアンジャズ。
繊細さはそのまま、本作は少々ダークなムード。
重めのビート、徘徊するようなフレーズの繰り返し、徐々にテンションと音量を上げていくバンド。
かといって、完全にミニマル的でもなく、目まぐるしく形を変え、また、インプロビゼーションを交えつつ、微妙に、ときに大胆に景色は変化していきます。
そんなハイテンションな演奏の合間にちりばめられらた不思議なバラード。
響きを殺したピアノが琴のように聞こえる場面、日本的なメロディもちらほら。
冒頭曲の“Juuichi”は十一のことなのでしょうし、Nik Bärtschさんと同じく、スイスのミニマル系の人は日本的なストイシズムがお好みなのでしょうかね?
また、前作のそこはかとない哀しさが、沈痛、あるいは祈りにも似たムードに変わってきた感じにも聞こえます。
ときに激しく、ときにアバンギャルド、ドラマチックながら、あくまでクールで上品。
オーソドックスなジャズではない、ミニマルジャズでもない、先端変拍子ジャズでもない、アヴァンギャルドでもなく、クラシカルでもない。
その他含めた諸々が不思議に混ざり合う、新感覚なピアノトリオ。
posted by H.A.