“Rruga” (2011) Colin Vallon & Patrice Moret & Samuel Rohrer
Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Samuel Rohrer (drums)
スイスのピアニストColin Vallon率いるトリオ、ECMでの第一作。
テーマ~ソロといったオーソドックスなジャズではなく、アンサンブル中心、同じフレーズを繰り返しつつ抑揚をつけていくミニマルなスタイルを取り込んだ演奏。
同じくスイスのNik Bärtschのようにパキーンとした、あるいはファンクな感じではなく、繊細でジャズに寄った色合い。
複雑なビート感、タメを効かせて哀しげで妖しいメロディを奏でつつ、明後日の方向に動いていくピアノ。
もちろんその美しさはECMならではの折り紙付き。
複雑に自由にビートを繰り出しつつ徐々にテンションを上げていくドラム。
堅実に背後を支えるベース。
そんな三者が絡み合いつつ、静謐から高揚、疾走、美しいメロディからアバンギャルド、さまざまな綾を織りなしながら変化していく音。
繊細、それでいてハイテンション。
いわゆるソロの場面もあるのですが、それよりもバンドの三者が一体となってグルーヴし、浮き、沈み、突っ走っていくイメージが強く印象に残ります。
オーソドックスなジャズになりそうでならない、アバンギャルドに行きそうで行かない、エスニックになりそうでならない、凶悪・沈痛になりそうでならない、意外な方向に動いていく音。
変幻自在の21世紀型ジャズは、静かで繊細、そしてエキサイティング。
posted by H.A.