“Awase” (2017) Nik Bärtsch’s Ronin
Nik Bärtsch (piano)
Sha (bass clarinet, alto saxophone) Thomy Jordi (bass) Kaspar Rast (drums)
スイスのピアニストNik Bärtschの最近作。
バンドは妖しく繊細なNik Bärtsch's Mobileから再びRoninに戻り、ミニマルファンクな音。
パキーンとした音、人力ながらデジタルな感じも戻ってきました。
ベーシストが交代しパーカッションが抜けたこともあるのか、マッチョな感じが希釈され、よりシャープにスッキリしたようにも感じます。
冒頭は“Continuum” (2015)で演奏されていた”Modul60”。
そちらのKing Crimsonな感じがジャジーでクールな印象に様変わり。
続く18分を超える”Modul 58”は、複雑な構成のハードなビート、スピードを上げつつ、はるか彼方にぶっ飛んでいくハイテンションファンク。
妖しく漂うような”A”を経過し、再びハイテンションなファンク”Model 36”へ。
ってな感じで、ハイテンションな疾走、高揚と幻想が交錯する構成。
”Model 36”は、“Stoa” (2005)に収められた曲の再演となりますが、カッチリしていてプログレッシブロックっぽい感じのそちらに対して、少し線が細め、シャープになった本作のバージョン。
ジャズなインプロビゼーションの場面はありません。
が、スッキリと軽快になった印象に加えて揺らぎが強い分だけジャズに寄ったようにも感じます。
ハードで躍動感が強い“Stoa” (2005), “Holon” (2007)、沈んだ感じの"Llyrìa" (2010)、妖しい“Continuum” (2015)、スッキリした本作、ってな感じでしょうか。
いずれにしても、繰り返しされるリフが誘う陶酔感、緊張感と疾走がもたらすカタルシスに浸るか、徐々に遷り変わる景色の変化を楽しむか。
スッキリしたミニマルファンク・ジャズ。
posted by H.A.