“Continuum” (2015) Nik Bärtsch's Mobile

Nik Bärtsch (piano)
Sha (bass clarinet, contrabass clarinet) Kaspar Rast (drums, percussion) Nicolas Stocker (drums, tuned percussion)
Etienne Abelin, Ola Sendecki (violin) David Schnee (viola) Solme Hong,  Ambrosius Huber (cello)

Continuum [12 inch Analog]
Nik's Roni Baertsch
Ecm
2016-03-18


 スイスのピアニストNik Bärtsch、ミニマル系ジャズ。
 ここまでのNik Bärtsch’s Roninからベースが抜け、一部でストリングスが加わる新しい編成。
 音の構成は、同じフレーズを繰り返しつつ抑揚とうねりをつけていくここまでの諸作のスタイルと同様ですが、ファンク色が抑制されたイメージ。
 輪郭が明確だった音に紗が掛かった感じ。
 音量、躍動感が抑えられ、妖しさダークさが増幅。
 ストリングスも華やかさや優雅さではなく、妖しく沈んだ色合いを加える役回り。
 ファンクなエレキベースが抜けることで揺れが増し、より繊細になり、人力ながらデジタルな感じが希釈されたイメージ。
 静謐で凛とした感じ、雅な瞬間もちらほら、Ronin諸作よりも日本的かもしれません。
 あるいは、緊張感のあるリフをひたすら繰り返しつつ徐々に高揚していく中、もの哀しげなバイオリンの音が飛び交う様は、一時期のKing Crimsonのよう。
 全編通じて沈んだムードの映画のサントラのように聞こえてきます。
 いずれにしても繰り返しが陶酔を誘う麻薬性の高い音。
 抑制された緊張感、ダークネスに包まれた高揚感、陶酔感を求める向きには、こんな感じがいいんだろうなあ。


 

posted by H.A.