“Matane Malit” (2012) Elina Duni Quartet
Elina Duni (voice)
Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Norbert Pfammatter (drums)
アルバニア出身のするボーカリストElina Duni、ECMでの第一作。
エスニックでフォーキーな音。
敬虔な空気、全体を包み込むほのかな悲哀。
中近東とヨーロッパが入り混じるような不思議感たっぷりなメロディは、アルメニア、コソボなど、バルカン半島系の伝統曲が中心。
Sinikka Langeland、Savina Yannatouなどの古楽、あるいは地中海トラディショナル路線、Cyminologyなどの中近東・ヨーロッパのフュージョン、それらの中間あたりのイメージでしょうか。
サポートはスイスのピアニストColin Vallonを中心としたピアノトリオ。
終始ピアノが前面に出るスタイルではなく、リフを繰り返しつつドラムとべースも含めて三者でテンションを上げていく、ミニマルジャズスタイル。
そんな音を背景にした、透明度の高い美しいヴォイス、クラシック色も混ざる完璧な歌。
ゆったりとしたビートとときおりの疾走、力の入らない優し気な歌は、アラブ系の激情やエキセントリックさはなく、ギリシャ系、古楽系の非日常感もそれほど強くはありません。
フォークの色合いが強いのですが、そこにサラリと中東色、地中海色、宗教色が混ざり合う感じのバランス。
サラサラと流れていくようで、後ろ髪を引かれるような、どこか違う微妙な音の流れ。
やはりどこか遠い所に誘うトリップミュージック。
posted by H.A.