“Absinthe” (2018) Dominic Miller
Dominic Miller (guitar)
Mike Lindup (keyboards, piano) Nicolas Fiszman (bass) Manu Katché (drums)
アルゼンチン出身~イギリス在住、Stingの盟友Dominic MillerのECM第二作。
ソロ、デュオの前作”Silent Light” (2016)から、本作ではバンドネオンも迎えたコンボ編成。
静かに淡々と爪弾かれるアコースティックギター、これまた静かながらロック寄りの現代的なビート、ときおりのピアノと電子音。
フロントに立つのは、ギターのアルペジオに加えて漂うようなバンドネオン。
クールで現代的な色合いに、強烈な浮遊感と懐かしさが混ざり合う音。
全てオリジナル曲、淡く漂うような前作に対して、本作ではクールな質感はそのままに、寂寥感の強いメロディのバラード群。
あのStingの”Shape of My Heart”に強い浮遊感を加えたムードがひたすら続く・・・、そんな感じ。
さて、あの名曲はこの人の色合いだったのかあ?とか思ったり、思わなかったり・・・
ジャズ度はなし、かといってとんがったアバンギャルド色はないし、フォークでもなく、南米色も少なくとも表面上は薄い感じ。
が、寂しげで哀しげながら全編に漂う穏やかな空気感は、やはりSaudade、南米の空気感なのでしょうか。
近年のECMの淡くて柔らかな色合いに、この人独特のクールな寂寥感が混ざり合う、とても素敵な音。
posted by H.A.