『ノスタルジア』 (1983)

ノスタルジア(字幕版)
オレーグ・ヤンコフスキー
2017-02-13


 1983年、イタリア、ソビエト連邦合作。
 監督アンドレイ・タルコフスキー、出演オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアナ・ジョルダーノ、他
 アンドレイ・タルコフスキー、ソビエト連邦からの亡命直前の作品。
 例によって難解でさまざまな解釈ができる映画。
 取材のために助手ともにイタリアを訪れたロシア人作家。
 教会、ホテル、温泉、取材相手の廃屋のような住まい・・・、それらの中で展開される不思議なドラマ。
 そして、眠るたびに脳裏に蘇る故郷の丘と家族の映像、現実との交錯。
 終始静謐な空気感、ゆったりと進む時間の中、テーマは何なのか、明示されることはありません。
 奇妙な旅が進み、取材で出会った奇妙な人物と接することで動いていく気持ち。
 そして主人公と取材相手が最後に取る行動は・・・
 ・・・
 素直に観れば、信仰心と故郷への思いが絡みあったものがメインメッセージのように思われます。
 また、台詞や映像の端々からは、夢と現実、旅先と故郷、あるいは国境などの境界がなくなっていくことを願い、表しているようにも思えます。
 さらには、格調高くストイックで世界を救う東側体制から西側へのアンチテーゼにも思えるし、逆に暗く重い東側へのアンチテーゼにも思えます。
 その捉え方も観た者の感性に委ねられているのでしょう。
 さておき、最初から最後まで、すべてが絵画のような美しい構図。
 長回しとゆっくりとした絶妙なカメラワーク。
 『』(1975)と同様、動く名画。
 何も考えることなく、その美しい構図、陰影、色彩、そして動きを眺めるだけでも、気持ちがどこかに動いていきます。
 そんな時間。

※フランスのピアニストFrançois Couturier の一連の作品タイトルを冠した“Nostalghia - Song For Tarkovsky” (2005)もそんな音・・・



posted by H.A.