“The Half-Finished Heaven” (2013) Sinikka Langeland


Sinikka Langeland (vocals, kantele) 
Lars Anders Tomter (viola) Trygve Seim (tenor sax) Markku Ounaskari (drums, percussion)

 ノルウェーのカンテレ奏者、ボーカリストSinikka LangelandのECM作品。
 “Starflowers" (2006)、“The Land That Is Not" (2010)からベースとトランペットが抜け、ヴィオラが加わった編成。
 北欧トラディショナルとジャズなビートが交錯する先のそれらの作品に対して、本作はカンテレ、ヴィオラ、テナーサックスの漂うような絡み合いを中心とした音。
 ゆったりとしたテンポ、少ない音数、より静かになった強い浮遊感の時間。
 クインテットだと前面には出て来なかったカンテレのとても美しい音が全編で響き、漂うようなヴィオラ、テナーと妖しく絡み合います。
 悲し気なメロディ。
 いつもの聞き慣れない感じが抑えられ、わかりやすい楽曲が並びます。
 また、ヴォイスの場面も抑えられ、主役はあくまで静かなアンサンブル。
 美しいカンテレの爪弾きを背景として、メロディを奏でる上品なヴィオラ、どこかに行ってしまいそうな時間を現実に引き戻すテナー、静かに時を刻むパーカッション。
 全部合わせて遠い所から流れてくるような音。
 これまた非日常の音ですが、心地よさ最高。
 天上の音・・・ってのには具体に過ぎたり、哀し気に過ぎたりするのかもしれませんが、そんな感じ。
 極上のトリップミュージック。




posted by H.A.