“Iva Bittová” (2012) Iva Bittová
Iva Bittová (Violin, Voice, Kalimba)
チェコのスーパーアーティストIva BittováのECM作品。
ECMではクラシック系ECM New Series からの“Iva Bittová / Vladimír Godár – Mater” (2007)以来のようです。
エスニック、古典音楽と現代の音をフュージョンしようとする近年のレーベルカラーからすれば、満を持した制作、といったところなのでしょう。
アルバムタイトルは堂々の名前だけ。
楽曲はFragmentsとのみ題された短編12編。
自身の声とバイオリン、カリンバの音だけ。
東欧の伝統音楽、ロマ音楽、現代ロック~ポップス、アヴァンギャルド、さらにレーベルカラーならではの静けさを混ぜ合わせたような音。
カリンバの音が響く冒頭と締めの同曲とその間にはさまれた全12編の演奏。
変幻自在の美しくかわいらしい系の声の歌、聞き慣れない音階の哀し気でやるせなさげな音の流れは、練られたエレジーのようでもあるし、シンプルに体から出てくる音を表に出しているだけにも聞こえます。
静かで広い空間に響くたっぷりのエコーが効いた声。
それは天使の囁きか、魔術師の呪文か、それとも長く重い歴史を背負った人間の生身の音なのか?
果たしてこの音の源泉は何なのか、沈思黙考しつつ聞くか、ただただ静かで穏やかな心地よい幻想的な空間に身をゆだねるか・・・さて・・・?
posted by H.A.