2018年、リリー・フランキー、樹木希林、安藤サクラ出演、是枝裕和監督。
パルムドール受賞。
人間らしさを追求している映画だと思う。
監督はずっと徹底して人間の在り方を問うて来たと思うし、それは”ワンダフルライフ” (1999)、"誰も知らない”(2004)から変わっていないように感じる。
所謂、商業映画的ではないのでこの映画はカンヌで受けたのかもしれない。
昔のイタリア映画の貧乏な雰囲気に通じるところがあったようにも思う。
安藤サクラの演技が光っていた。
ドキュメンタリー的にという面ではリリー・フランキーの素人っぽさとか、樹木希林の力の抜けた演技は合っているとは思う。
子役の二人も控えめでおとなしく血のつながらない家族のなかでの居場所を探していた。
お金がないということを肯定はしないけど、抜け出せないという感覚もある。
ただ結果的には安藤サクラとリリー・フランキーの社会に適応できない悪さがあり、子供との下町的コミュニケーションがどこまで本当だったのかというところ、適当に暮らせればよかったのだろうかというところが問題提起としてある。
車のフロントガラスを割ってまで盗んだり、死体を埋めるあたりから、観客は少し引いていく。
しかしながらも、子供との気持ちのつながりは本当だったのかと観客は考え続ける。
樹木希林と風俗店で働く松岡茉優との関係もあってあんなに心がつながっていたのに、最期は自然死して結果的に隠すために埋めちゃう。
刹那的で、感情的で、何か無機質な感覚が全体を通じてある。
現代の我々が共感する部分が映画の中の随所にあるのではないかという気がする。
細野晴臣さんの主張しない邪魔をしない、抑えた控えめの音楽が良かった。
エンドロールの音楽もインパクトあったなぁ。
posted by N.N.