“João Gilberto” (1972-1973) João Gilberto

João Gilberto (vocals, guitar)
Sonny Carr (percussion) Miúcha (vocals)

JOAO GILBERTO (Aguas de Marco)
Joao Gilberto
EMARC
2000-06-10


 João Gilberto、1970年代前半の作品。
 ギターの爪弾きと少々のパーカッションを背景にした囁きヴォイス、それだけ。
 優雅なオーケストラや躍動感のあるジャズコンボとの共演もいいのだけども、この形が一番自然な感じ。
 Jobimの名曲「三月の水」"Águas de Março"を冒頭にいただき、淡々と進む音。
 シンプルなようで徐々に周囲の景色が変わっていくような感じがするのは、メロディ、コードの動きゆえなのか、ギターと声ゆえなのか・・・?
 ま、神様二人のなせる技なので、何が起こっても不思議でないというか、何と申しましょうか・・・
 繰り返される音の動き、祈りのような囁きヴォイス、なんとも含蓄の深い歌詞を含めて、この種の音楽の極みの一つ。
 瞑想的・・・ってな感じとはちょっと違うのかもしれませんが、淡々と刻まれるギターと囁くような声を聴いていると、どこか別の世界に連れていかれそうな・・・
 以降、普通に美しいブラジル曲が並びますが、そんな特別な音に聞こえてきます。
 それでも決して暗くも難しくも敷居が高くもなくて、最後にさりげなく収められた奥様とのDuoなど、とても微笑ましくていい感じ。
 クールでハードボイルド、そして瞑想的。
 そんなボサノバを聞きたい時は、本作か“João Voz e Violão” (2000)。
 本作の方がハイテンションです。
 創始者にしてこの人のボサノバは特別です。




posted by H.A.