“Timba” (2016) Diego Schissi Quinteto

Diego Schissi (piano)
Guillermo Rubino (violin) Santiago Segret (bandoneon) Ismael Grossman (guitar) Juan Pablo Navarro (contrabass)

Timba
Club del Disco
2016-06-27


 現代タンゴのDiego Schissi、2016年作品。
 “Tongos” (2010)と変わらないメンバー。
 “tipas y tipos–en vivo en café vinilo” (2012), “Hermanos” (2013)は他のメンバーが加わっていましたが、Diego Schissiバンドは不動のメンバーのキンテート。
 本作はフォルクローレ風味は抑え気味、現代音楽~クラシック色が強めのバランスの複雑で不思議なタンゴ。
 重苦しい弦の響きから始まる複雑なアンサンブル。
 先の読めない変幻自在な展開。
 クラシカルなタンゴの香りの目まぐるしい楽器の絡み合い。
 “Tongos” (2010)、“tipas y tipos–en vivo en café vinilo” (2012), “Hermanos” (2013)あたりで感じられたフォルクローレな色合い、優しく感じられた質感が薄まり、デビュー作“Tren” (2008)の強さ、高い緊張感に戻ったようにも感じます。
 さらに少々ダークな色合い。
 ピアノが前面に出る場面は少なくなり、終盤の何曲かに限られています。
 アンサンブル中心、少人数で静かな場面でも前面に立つのはバイオリン、バンドネオン、ギターが中心。
 結果としては、コンテンポラリージャズの色合いも薄くなっているようにも感じます。
 共通するのは繊細さ。
 前半の激しく沈痛な面持ちの絡み合いから、終盤に収められたピアノを中心とした静かな数曲にほっとしつつも、最後は妖し気なボイスと叫び声、SEを絡めた不穏な空気感の中で幕・・・
 そのタイトルの英訳は“Dead talking”・・・なるほど・・・




posted by H.A.