“Tangofied” (2012) Torben Westergaard, Diego Schissi
Torben Westergaard (bass) Diego Schissi (piano)
Guillermo Rubino (violin) Paula Pomeraniec (cello) Santiago Segret (bandoneón) Ismael Grossman (acoustic guitar)
デンマークのベーシストTorben WestergaardとアルゼンチンのピアニストDiego Schissi双頭リーダーバンドの現代タンゴ。
Astor Piazzollaキンテートと同様の編成+チェロ。
Astor Piazzollaの色合いが強く感じられますが、もう少し軽めで不思議感たっぷり。
硬めのビート感に硬質なピアノ、とても哀し気な音色のバイオリンに、漂うバンドネオン、クールなギター、それらに重厚な背景を作りカウンターを当てるチェロ、そして不思議なエレキベース。
計算されたアンサンブル、各人が代わる代わる前面に立ち、うねりを作りながら次々と変化していく背景のアンサンブルはいかにもタンゴですが、そんな中でエレキベースがファンクに跳ねる感じ。
ピアノを中心とした全体のパキパキ感とベースの不思議な跳ね具合、さらに他の楽器の浮遊感の組み合わせがなんとも新しい感じ。
リーダー陣のピアノとベースが後ろに下がる時間は強い浮遊感、とても優雅でクラシカルなムード。
二人が戻るとピキピキパキパキしながら跳ねる感じの不思議な空気感。
少々硬めの質感ながら、インプロビゼーションの場面では疾走系のジャズになるDiego Schissiのピアノがとてもいい感じ。
一聴バラバラな感じが、なぜか自然に収まっていく感じがこれまた不思議。
楽曲はAstor Piazzolla風もふんだんに取り入れた、哀愁、郷愁たっぷり、ドラマチックな構成。
が、彼ほどの深刻感、沈痛感はなく、甘からず辛からず、そして曖昧過ぎない淡い色合いが中心。
さらにどこかすっとぼけたような明るさがある不思議なテイスト。
ベタつかないクールで乾いた質感もいかにも現代の音、そんなタンゴ。
とても不思議な感じですが、とても素敵だと思います。
posted by H.A.