“Courage” (1968,1969) Milton Nascimento

Milton Nascimento (vocals)
Eumir Deodato (organ, arranger, conductor) Herbie Hancock (piano) Jose Marino (bass) João Palma (drums) Airto Moreira (percussion) Anamaria Valle (vocal)
and Horns, Strings

Courage (Dig)
Milton Nascimento
Verve
2005-07-12


 ミナス系、というよりもブラジリアンミュージック界のカリスマ、MPBの重鎮、Milton Nascimentoの初期、アメリカCTI制作のアルバム。
 CTIらしく第一線のジャズバンドに加えて、オーケストラが加わるゴージャスなアレンジの、優雅と勇壮が交錯するあの時代のラテンジャズフュージョンポップス。
 ジャズレーベルの制作ゆえ、ロック~フォークなMilton Nascimentoとは少し違った質感なのですが、本人はいたってマイペース。
 ボサノバとも異質な、土の香りがするような、あるいは幻想的でそれでいてキャッチーなMilton Nascimentoなメロディに、近年まで変わらない声と少し青臭い感じの歌い方。
 いかにもこの時代のオーケストラに、ときおりのボサノバビートやフルートがこの時代の優雅な響き。
 さらに一歩後ろに引いたところから聞こえてくるHerbie Hancockのジャズピアノがカッコいい。
 ブラジルの山奥的幻想とBeatle的ロックと優雅なポップスとジャズの交錯。
 洗練されているようで、その実、猥雑な感じ、このごった煮感。
 1960年代の終わりの空気感。
 そして、そこはかとない哀感は、サンバ、ボサノバとはまた違ったテイストのBrazilian Saudade。




 posted by H.A.