“For 2 Akis” (2017) Shinya Fukumori
Shinya Fukumori (drums)
Walter Lang (piano) Matthieu Bordenave (tenor sax)
日本人ドラマーのデビュー作品、ECMレコードから。
リーダーは30歳代、ピアノはベテランのドイツ人、テナーはリーダーと同世代のフランス人。
ベースレスでの浮遊感の強い、静かなバラード集。
といってもECMのお約束の全編ルバート・・・ってな感じではなく、ピアノが定常なビートを出して、サックスはそれに合わせ、ドラムが静かにフリー動いていく構成。
キッチリとしたヨーロピアンピアノに、Charles Lloyd的な繊細なテナー。
自由なドラムは、Paul MotianやThomas StronenといったECMのフリー系の人たちとはイメージの異なる、静かで繊細な優しい音。
“Silent Caos”といったとてもカッコいいタイトルのイメージそのままの演奏もありますが、ECM的な毒や難解さ、気難しさはありません。
ドラムはフリーですが、その動きを含めて全編メロディアス。
中心となるオリジナル曲はどこか懐かしい童謡を想い起すようなメロディ、音の動き。
さらにスローでルバートっぽく演奏される美空ひばり/小椋佳の“愛燦燦”、あるいは”荒城の月”なんて、なかなか・・・
演歌的ではなく、クールに聞こえるのはいかにも現代の音であり、ECMな音。
それでも全編通じて日本っぽくて懐かしい音の流れは、Japanese Saudadeってな感じでしょうか。
ヨーロッパで生活する日本人、あるいはドイツの人からしてもそんな感じに聞こえるのでしょうかね?
とても静かで優しい、日本的な空気感が素敵なコンテンポラリージャズ。
posted by H.A.