“Play Blue: Oslo Concert” (2008) Paul Bley
Paul Bley (piano)
これが遺作になるのでしょうか?
ECMでは名作“Open, to Love” (1972)、“Solo in Mondsee” (2001)に続く三作目のソロピアノ。
おそらくは全て即興演奏なのでしょう。
跳ねるようなアップテンポの場面が多い印象ですが、スローバラード、その他を織り交ぜながら、短いスパンで次々と景色が変わっていくような音の流れ。
グラデーションを付けながら変わっていくスタイルはKeith Jarrett的ではあるのですが、彼の演奏よりも変化が大きく、その予想も困難。
冒頭、明るいアップテンポから今にも止まりそうなタメを効かせたスローバラード、さらにフリージャズへ。
そして理不尽な不協和音と不自然なまでに長い残響音でのエンディング。
激しいフリージャズの演奏から、次の瞬間は穏やかで美しいメロディ、あるいはその逆。
そんな演奏が続きます。
中盤に置かれた“Flame”は “In the Evenings Out There” (1991)に収められた名演”Afterthoughts”のバリエーションのようなスローバラード。
フリーで抽象的な場面を経て、予想外の激しいエンディング。
このステージの最後の曲も目まぐるしい展開と、まとまったようで何か唐突な印象もある終演・・・
その唐突感と予想外の展開、そしてその間々に挟まれた超美メロディの数々がこの人の真骨頂。
ベタつかないクールさ、ハードボイルドネス、そして美しさの源泉なのでしょう。
ベタつかないクールさ、ハードボイルドネス、そして美しさの源泉なのでしょう。
終演後の長い長い拍手は “The Carnegie Hall Concert”(Sep.2005) Keith Jarrettを想い起こします。
そしてアンコールはECM制作としては全く意外なSonny Rollinsナンバー、但し、フリージャズ仕様。
1960年代から、モダン~フリーを体現したジャズアーティストの本分。
キャリアの集大成ともいえそうなステージの記録。
そして、稀代のスタイリストPaul Bley、2016年逝去。
※若き日の演奏から。
posted by H.A.