“It Should've Happened a Long Time Ago” (Jul.1984) Paul Motian

Paul Motian (drums)
Joe Lovano (tenor saxophone) Bill Frisell (guitar, guitar synthesizer)

It Should've Happened a Long Time Ago
Paul Motian
Ecm Records
2001-02-27


 Paul Motian、長く続く名トリオでの第一作にして、この時点のECMでのリーダー作としては最終作になるのだと思います。
 Paul Motianも参加した“Rambler” (Aug.1984) Bill Frisellの前月のセッション。
 他のレーベルではこのメンバーにベースその他が加わった作品もありますが、本作はベースレス変則トリオによる強烈な浮遊感のクリエイティブな音。
 冒頭は後のブロードウェーシリーズに繋がるようなバラード。
 静かに空間を埋めるギターのスペーシーな音と淡々と鳴るシンバル、
 もちろん前面に立つのは名人Joe Lovanoのスムースなサックスですが、三者の出すバラバラな音が混然一体となった素晴らしい音の空間。
 この時点でバンドのサウンドは完成しています。
 が、続くはギターシンセサイザーが唸る激しいフリージャズ。
 John Coltrane的、あるいはKeith Jarrettアメリカンカルテット的な激烈系。
 三人ともぶっ飛んだすさまじい演奏。
 そんな過激な演奏も含めて、後はバラードやら、沈痛系やら、前向きで穏やかなフォークロック調やら。
 整った演奏が揃っているのですが、ベースレス、Bill Frisellのギターゆえの強烈な浮遊感、逆に端正なジャズを演奏するJoe Lovano。
 素晴らしいアンバランスの調和。
 妖しく危ない絶妙なバランス。
 とてもカッコいい新しいジャズ。
 が、この後レーベルを移籍し、わかりやすい普通のジャズに近いブロードウェーシリーズをスタート。
 ECMでリーダー作を作るのは20年後の名作“I Have the Room Above Her” (2004)。
 上手くいっているんだか、いっていないんだか・・・

※タイトル曲を別のアルバムから。


posted by H.A.