“Open, to Love” (1972) Paul Bley

Paul Bley (piano)

OPEN TO LOVE
PAUL BLEY
ECM
2008-09-19


 Paul Bleyのソロピアノ作品。
 そのイメージが濃縮されたような、美しく妖しいアルバム。
 縁のある女性Carla Bley, Annette Peacockの楽曲に自身のオリジナル曲を加えた構成。
 メロディアスながら不思議感たっぷり。
 多くの間を取りながら、タメにタメにタメながら置かれていく美しい音。
 メロディの芯をとらえているようで、少しずつスケールアウトし、予期できない方向に跳んでいく、あるいは時空が歪んでいくような演奏。
 ときおりの唐突で短い疾走~激情、そしてこれも唐突な鎮静・・・
 美しくまとまりそうで崩れていき、崩れていきそうでまとまっていく、危ういバランス。
 よく言われるように、耽美的であり、離散的であり、断片的であり、それら含めて芸術的、クールでスタイリッシュ。
 全編そんな音。
 ECMでの制作らしく、ジャズ的なビートの場面は少なく、音は意外な方向に動き、景色は大胆に変わっていきます。
 美しくわかりやすく始まりつつも、ハッピーエンドになりそうで、そうでもなさそうで、やはり突き放したような音の動きで不条理におしまい・・・
 それがこれまたカッコいい。
 多大な影響を与えたのであろうKeith Jarrettよりも音の線が細めで鋭利。
 彼の作品の多くのようにわかりやすいメロディが続く展開、作り込まれたようなドラマチックな構成が少ない分、気難しく聞こえるのかもしれません。
 それら含めてとてもオシャレ。
 生の人間の不条理というか、大衆に迎合しないニヒリズムというか、断片の美学というか、未完な感じの余韻の美しさというか、なんというか・・・
 古今東西、クールでアートなピアノミュージックの決定版がこれ、・・・かな?

※近い時期の演奏から。


posted by H.A.