“Songs of an Other” (2007) Savina Yannatou, Primavera En Salonico
Savina Yannatou (Voice)
Kostas Theodorou, Michalis Siganidis (Double Bass) Kostas Vomvolos (Kanun, Accordion) Harris Lambrakis (Ney) Yannis Alexandris (Oud, Guitar) Kostas Theodorou (Percussion) Kyariakos Gouventas (Violin, Viola)

Songs of an Other (Ocrd)
Savina Yannatou
Ecm Records
2008-09-09


 ギリシャの女性ボーカリストSavina Yannatouの地中海エスニック~クラシックな音楽。
 正直、ギリシャ、地中海のエスニックな音がどんな音なのか、いつの時代の音楽をイメージしたのかはよくわかりません。
 また、Savina Yannatou自身がクラシックの人なのか、伝統音楽の人なのか、はたまたジャズ、ポップ畑の人なのか、あるいはこの音楽がギリシャ的なのかどうかもわかりません。
 “Siwan” (2007,2008),“Nahnou Houm” (2017) Jon Balke、"Arco Iris" (2010) Amina Alaouiなどの北アフリカ色、あるいはアラブ~中近東が混ざり合うような少々妖しげで悲しげな音の流れ。
 ギリシャといえばエーゲ海の陽光のイメージをしてしまうのですが、地理的にはトルコ~アラブ、あるいはアフリカ、そしてヨーロッパの結節点。
 実際はいろんな要素が入り混じる複雑な空気感の地域なのかもしれません。
 それらのエスニックな空気感にヨーロッパ的な優雅でクラシカルな空気感、宗教的な敬虔な空気感が加わった音。
 楽曲を見ると、ギリシャ、イタリアに加えて、セルビア、アルメニア、ブルガリア、カザフスタンなどの伝統曲。
 エスニックで耳慣れない弦と木管、アフリカンなパーカッションの響きと朗々としながらも悲しげな女性ボイスの絡み合い。
 静かながらハイテンションで非日常的なメロディと演奏。
 ときおりの演劇的なアヴァンギャルドなボイスパフォーマンスは、Maria Joao、Iva Bittováあたりを想い起こします。
 敬虔で少々深刻なムードは宗教的な意味合いもありそうですが、それらが祈祷、祝祭、儀式、その他、何の音楽なのかはわかりません。
 ちょっと怖いような、哀しいような、それでいて懐かしいような・・・
 いずれにしても現代日本の日常の中では感じることができない空気感。
 きっと古代~中世の地中海~北アフリカ~中近東のムードなのでしょう。
 強烈な非日常感を味わえるトリップミュージック。




posted by H.A.