“Conte De L'Incroyable Amour” (1991) Anouar Brahem
Anouar Brahem (Oud)
Kudsi Erguner (Ney)
チュニジアのウード奏者Anouar Brahem、“Barzakh” (1990)に続くECMでの第二作。
本作もウードのソロ演奏を中心、楽曲によって木管楽器、パーカションが加わります。
静謐で幽玄な音。
静かでゆったりとした楽曲が多い分、前作よりも寂しさ、哀しさが強いかもしれません。
冒頭から静かな空間に響く、エコーがたっぷりと効いた木管楽器の音。
寂寥の世界。
途中から入るウードの音がより哀し気に聞こえます。
とても温かな音だと思いますが、なぜか感じる寂寥感、孤独感、やるせなさ。
強烈な人間臭ささ。
感情を吐露するわけでも爆発させるわけでもなく、抑制しつつも、内面の心情がにじみ出てきているような雰囲気。
それがアラブ、あるいはチュニジアの空気感なのかどうかはわかりません。
その複雑な感情表現を含めて、非日常的なトリップミュージック。
それら洗練されたヨーロピアンの音とフュージョンする前、生のチュニジア、Anouar Brahemの音。
posted by H.A.