“Conte De L'Incroyable Amour” (1991) Anouar Brahem
Anouar Brahem (Oud)
Kudsi Erguner (Ney)

Conte De L'Incroyable Amour
Anouar Brahem
Ecm Records
2000-04-11


 チュニジアのウード奏者Anouar Brahem、“Barzakh” (1990)に続くECMでの第二作。
 本作もウードのソロ演奏を中心、楽曲によって木管楽器、パーカションが加わります。
 静謐で幽玄な音。
 静かでゆったりとした楽曲が多い分、前作よりも寂しさ、哀しさが強いかもしれません。
 冒頭から静かな空間に響く、エコーがたっぷりと効いた木管楽器の音。
 寂寥の世界。
 途中から入るウードの音がより哀し気に聞こえます。
 とても温かな音だと思いますが、なぜか感じる寂寥感、孤独感、やるせなさ。
 強烈な人間臭ささ。
 感情を吐露するわけでも爆発させるわけでもなく、抑制しつつも、内面の心情がにじみ出てきているような雰囲気。
 それがアラブ、あるいはチュニジアの空気感なのかどうかはわかりません。
 その複雑な感情表現を含めて、非日常的なトリップミュージック。
 この後、ECMではジャズ系の人脈とのセッション、Jan Garbarekとの共作“Madar” (1992)を経て、フランス人脈の“Khomsa” (1994)へと続いていきます。
 それら洗練されたヨーロピアンの音とフュージョンする前、生のチュニジア、Anouar Brahemの音。




posted by H.A.