“Corações Futuristas” (1976) Egberto Gismonti
Egberto Gismonti (Synthesizer, Piano, Electric Piano, Guitar, Voice)
Luiz Alves, Renato Sbragia (Double Bass) Robertinho Silva (Drums, Percussion) Nivaldo Ornelas (Sax, Flute)
Danilo, Mauro, Paulo (Flute) Ed Maciel (Trombone) Darcy Da Cruz, Marcio Montarroyos (Trumpet) Aninha, Marya, Joyce, Lizzie, Mauricio, Novelli, Dulce (Voice) and Strings
Egberto Gismonti、ブラジアリアン・プログレッシブロック、ブラジリアン・ハードジャズ、ブラジリアン・ハードフュージョンな一作。
凄まじい“Academia de Danças” (1974)に続く、超弩級にハードな、諸々の要素てんこ盛りフュージョン。
冒頭、後々まで演奏される定番曲“Dança Das Cabeças”から、例のハイテンションなガットギターのストローク。
それだけならECM作品にもたくさんあるのですが、それにエフェクターが掛かっているし、シンセサイザーがぎゅんぎゅん唸り、キメキメのブレイクに、ブチ切れサックス。
切れ目なく続くのはあのしっとりとした名曲のはずの”Cafe”。
ECMファンからすれば、“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneの静謐なバラードを想像するのですが、オリジナル?は激しいビートにKing Crimson風のリフに、魂の叫び系の激しいスキャット。
三曲目でやっと落ち着き、ギターのアルペジオと低音のアルコ、スキャットが絡み合う幻想的なバラード”Carmo”+南米山奥エスニックでひと休み。
LPレコードB面に移るとメインの楽器がピアノに変わります。
静かに美しく、幻想的に始まりますが、こちらも徐々にテンションを上げ、気がつけば音の洪水。
超弩級の全力疾走ミュージック。
シンセサイザーが絡みつきながら突っ走る、超高速、怒涛のようなピアノジャズ。
この人にしては珍しい4ビートなんて、他のジャズピアニストを全く寄せ付けないようなとてつもないピアニストEgberto Gismontiの演奏。
Keith Jarrett的フォークロック~ゴスペルチックな演奏をインタールード的に挟みつつ、最後はド派手な高速サンバの大合唱~ラテンジャズな怒涛の鍵盤叩きまくりで幕。
Chick CoreaやHerbie Hancockも真っ青のハードなピアノジャズ。
いやはやなんとも・・・
最初から最後まで突っ走りまくるジェットコースターミュージック。
激烈ながらビートがしなやかでうるさくないのがさすがにというか、一時期のWether Report的というか。
ジャケットのGismontiさんは、据わった眼でこちらをギラっとにらんでいますが、その通りの怖い作品。
鬼も逃げ出す音の洪水。
“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisや上記のアーティストの名作群と並ぶ大傑作だと思います。
posted by H.A.