“Dois Em Pessoa” (2003) Renato Motha, Patricia Lobato
Renato Motha (voice, guitar) Patricia Lobato (voice, ganza)
Maruo Rodrigus (flute) Firmino Cavazza (cello) Felipe Moreira (piano) Eneias Xavier, Kiko Mitre (bass) Esdra Ferreira (drums) Serginho Silva (percussion) Ronaldo Gino (Electronic effects) and others

Dois Em Pessoa
Renato Motha
Sonhos & Sons Brasil
2004-10-12


 ブラジルの男女Duoによる、とても静かで穏やかなボサノバ~サンバ~MPB、二枚組。
 ポルトガルの詩人Fernando Pessoaの作品にメロディを付けた楽曲集。
 一枚目はオーソドックスなボサノバ。
 ピアノトリオにギターとボイスのシンプルな編成。
 ブラジリアンスタンダードの名曲群のような素晴らしいメロディ揃いのオリジナル曲。
 神様Jobimの影響が強いのだと思うだけど、もっとシンプルでナチュラルな感じ。
 ときおりポロポロと前面に出るピアノも、Jobimのそれっぽくてとても優雅です。
 Renato Mothaのボーカルスタイルは、これまた神Joao Gilbertoの影響が強い感じでしょうか?
 もちろん声質は違って艶々系だし、あそこまでウイスパーではなく、沈んだ感じでもないのですが、端々におっ?と思う場面ばしばしば。
 さらにPatricia Lobatoの超美声。
 透明度の高い可憐系、自然に鼻に抜けていく、軽くてサラサラとした質感の歌。
 後の”Shahds” (2007)、“In Mantra” (2009)などの瞑想サウンドのイメージに引きずられているわけではないのだけども、淡々と刻まれるサンバビートが陶酔感を誘う、トランス度の高い音。
 天上のサンバ・・・ってな語感がピッタリ、かな?

 もう一枚はサンバのビートを抑え、スローなテンポ中心のブラジリアンサウンド。
 空気感はそのままに、もっとフォーキーだったり、ノスタルジックだったり、一時期のPat Metheny風だったり、あるいは現代的なポップス風だったり・・・
 ミナス系の伝統的なサウンドの色合いを、現代的に整理したのでしょうかね?
 Renato Mothaのボイスを中心にとても優しい歌。
 一枚目よりもテンポを落とし、音数を減らし、もっともっと穏やかでゆるーい感じ。
 徐々に徐々に時間の速度が遅くなっていくような感覚・・・
 こちらも現実逃避にはもってこいのサウンド。
 二枚ともに、とてもナチュラルで、とてもとても優しいトリップミュージック。
 これまた最高。




posted by H.A.