“Inland Sea” (2014-2016) Stephan Micus
Stephan Micus (Lute, Nyckelharpa, Zither, Shakuhachi, Guitar, Guimbri, Voice)

MICUS, STEPHAN
STEPHAN MICUS
INLAND SEA
2017-06-16


 ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micusの2017年時点での最近作。
 もちろんいつもと同じ、無国籍、ノンジャンルな、とても静かで穏やかな音。
 “East of the Night” (1985)、“Ocean” (1986)あたりは幽玄さが前面に出ていましたが、作品が進むにつれ音の輪郭がシャープに具体的に変わってきているように感じ。
 が、本作は幽玄な方向に戻ったような印象。
 おそらく、柔らかな弦の古楽器?中心だからでしょう。
 終始漂うような音の流れ。
 Zither, Lute, Nyckelharpaなど、遠い所、遠い時空から響いてくるようなさまざまな音が奏でる悲し気なメロディ。
 間に定番の尺八、ボイスをはさみながら進む、憂いを含んだ幻想的な音。
 “East of the Night” (1985)と近いムードのとても素晴らしいジャケット。
 そちらは全二曲の大作ですが、そのムードはそのままに、楽曲をコンパクトにまとめていったような印象。
 楽曲ごとに景色、空気感が変化していきます。
 どこの、あるいはいつの”内海”の描写なのかはわかりません。
 世界のどこか、いつの時代かの情景を集めたコラージュのようなアルバム。
 現代の都会の喧騒や慌ただしさから完全に隔離された音。
 とても静かで穏やかな気持ちに・・・なるかな?





 Stephan Micus作品群。
 たくさんは聞けていませんが、私が知る限りはどれも静謐なトリップミュージック。
 新しいほど楽器、音の流れのバリエーションが増えていると思いますが、私的な好みはシンプルな“East of the Night” (1985)、“Ocean” (1986)あたり。
 忘れたころに聞きたくなる、気持ちの清涼剤になる素晴らしい音。
 無国籍なエスニック感、さまざまな要素がフュージョンする音、空間が多い静謐な音など、これぞジャズ、クラシックではないECMの典型的な音、ってな感じでしょうね。

“Archaic Concerts” (1976)
“Implosions” (1977)
“Koan” (1977)
“Behind Eleven Deserts” (1978)
“Till the End of Time” (1978)
“Wings over Water” (1981)
“Listen to the Rain” (1983)
East of the Night” (1985)
Ocean” (1986)
“Twilight Fields” (1987)
“The Music of Stones” (1989)
“Darkness and Light” (1990)
Athos” (1994)
“The Garden of Mirrors” (1997)
Desert Poems” (2001)
Towards the Wind” (2002)
“Life” (2004)
“On the Wing” (2006)
“Snow” (2008)
“Bold as Light” (2010)
“Panagia” (2013)
“Nomad Songs” (2015)
Inland Sea” (2014-2016)


posted by H.A.