“Desert Poems” (1997-2000) Stephan Micus
Stephan Micus (Sarangi, Dilruba, Ngoni, Ney, Strings, Kalimba, Harp, Talking Drum, Steel Drums, Percussion, Voice)
ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、ECMでの無国籍、ノンジャンルな静かな音。
本作のテーマは砂漠なのでしょう。
この人の作品、アルバム毎にメインの楽器が変わってくるように思いますが、本作のメインは、ギター的な弦楽器とカリンバ、さらにボイス。
反響音が少ない乾いた弦の音、あるいはカリンバが、砂漠~中央アジア~中近東のイメージでしょうか。
それらの響き、ルバートではなく淡々と定常に刻まれるビートと、何語かよくわからないボイスが瞑想へ誘う音。
中近東的な感じとオリエンタルな感じ、中盤以降は日本的な感じが交錯する物悲しいメロディは、お経のように響きます。
非日常感は120%。
そのボイスの入り方で好みが分かれるのかもしれませんが、強い非日常感をお求めの向きにはいいんだろうなあ・・・と思う楽曲がいくつも。
お約束?の尺八のソロでサムライ~侘び錆び風の風情でペースを変えながら、ゆったりとしたビートと乾いた弦、木管の音が響く、幻想的な時間が続きます。
とても素敵なジャケットは、このレーベルにしては稀有な色鮮やかで灼熱な感じですが、音の方は穏やかで温かな感じ。
相対的に温度感が高いかもしれませんし、湿度感もそこそこ。
少々妖し気ながら、静かさ、穏やかさは同様。
いつも変わらないこの人の作品の空気感、静謐なトリップミュージックです。
posted by H.A.